速水の毎日

何もすることのない毎日

それが続くと、速水はだんだんそれも悪くないと

静かに暮らすことの楽しさを覚えた

母が丹精している庭

その庭は父の母親が自分の趣味で

丁寧に作り上げた庭で

本当に風情のある優しいものだった

母は結婚してここで暮らすことになってから

この家のつくり、あちこちの家具、どれも非常に好きになったが

特に庭は大好きで、大事に手入れしているのだ

速水はその庭の手入れの手伝いをしながら

祖父が来る日を心待ちにしながら

庭の手入れをしていた祖母に心をはせた

もちろん、今の世の中では不倫だと騒がれ

子供を作り、生涯、祖父だけのために誰とも結婚しなかった祖母

それは、非難するようなことだとは思えない