全く何もしないまま

教師はいい人で真剣に正二のこれからを考えてくれた
ちゃんとしたところに就職しよう
できたら、定時制でもいいから高校に行こう
そんなことを必死で正二に話し

じいさんや江さんは

「高校に行きたきゃ行けばいい
お金は出してやるよ
なぁ、みんな?」

そう言うと誰もが頷いた
皆、正二が行きたいのならば高校に行くお金を出してあげるのは
もったいないなんて思ってもみなかった
でも、だれもなんで高校に行かなきゃいけないのかわかってなかったし
必要なこととも思っていなかった

ここで働いている人間は中卒がほとんだし
高校中退がちらほらいた
行く意味なんぞ全くない、そう思っていた

中卒だって大金持ちになっているやつもたくさんいる