全く何もしないまま
正二のほうが先生が気の毒になって
「じいちゃん、ちょっと、先生と話してくる」
そう言って、真っ赤になって固まっている教師を促した
その小屋の中にいるのに耐えられなかった担任は
促されてすぐに立ち上がり
正二が誘った公園のベンチに座った
「先生、大丈夫?」
しばらく声も出せないほど固まっていたが
そのうちにやっと
「正二君はご両親がいないんなら
児童相談所に行って、施設に行ったほうがいいんじゃないかしら
あまり、いい環境とは思えないけど」
正二はうんざりした
社会ってこういうものなのかと納得し
教育テレビで説明されていた
職業に対する偏見を思い出した
そして、施設になんか行くのは嫌だと思った
そりゃ、世間的にはまともな職業の人たちではないかもしれないけど
正二はみんなが優しいことはよく知っているし
正二をあそこで育てている責任をしっかり感じているのを知っている