.....の無い

そんな風に彼が常連の客となって
一年も経った頃

いつものようにミキの部屋に
客として入ってきた彼の様子がおかしかった
最近、なんとなく、イライラしていて
ミキが思っている彼らしく無い
そう、気にはしていた

上等な人間ならば感情を出すのは
とくに負の感情はださにはずで
あの社長にそれは教わった
怒鳴ったり、暴力的な言葉を吐いたり
ましてや手を出す、足を出す
どんなことがあってもそんな人間は最低だし
不機嫌を顔にぶら下げている人間は
子供でしかない
そう、教わったし、そのとおりだと思った

だから、ミキはどんな時も機嫌がいい

「どうして、外で会いたいって
言ってくれないんだ?」

まだ、ミキが準備をしている横で
そう、ポツリと言った
それは、少年のような
困ってどうしていいかわからない
そんな言い方だった

その時にミキははっきり感じた
この人、恋をするのが初めてなんだ