......の無い

端正な顔
色白で屈託が無さそうな瞳
なんて私好みなんだろう
ミキはそう、思いながらも
同じステージの人間ではないことは
自覚していた

多分、生まれからして違う
いや、前世から違うのだ

案の定、その美しい冴え冴えとした顔に
嫌悪感が走った
ミキはしまった!と思う思いと
やっぱりという思いと
早めに断ち切らなければ相手なのは
やはり間違いではなかった

「あ、私、この後、用事があるから」

相手が職業に対する貴賎だとか
人間として立派に対応しよう
なんて思わなくていいように
千円置いて立ち上がった

そのまま立ち去る
彼もまた追いかけようとはしなかった