馬の耳
沙理は小さな声で
「バカは放っておけばいいわ
お祖父ちゃんはお金をくれるんだから
いちいち、相手にならないほうがお得よ」
健介はぎょっとした
単身赴任から帰ってくると
沙耶は全く変わった様子もなく
健介がいない間、のびのびと実家と自分の家を行き来しながら
沙理のお受験生活を楽しんだようだ
どこに行っても鼻高々の娘を持って
嬉しくて仕方がなかったようで
幾分、太ってはいたが満足をいっぱいいっぱいに食べこんだ
豚のようだった
健介は驚かなかった、沙耶から来るメールは
沙理の自慢でいっぱいだった
まぁ、沙理が優秀な話は健介だった嬉しい
でも、今回、海外の単身赴任を終了するにあたって
沙理への土産が、あまりに子供っぽすぎたことに
困ってしまったのだ