馬の耳
妻は娘が大きくなるにつれて
さすがに本人の前では口にはしないが
娘の容姿にうんざりしてきていた
私にはその意味すらわからない
毎日、一緒に暮らしていれば
小さな赤ん坊が、寝返りをし、お座りができるようになり
笑い、食べる
それは、それだけでかわいいし、まして自分の娘であれば
もっと、愛おしく思うものだ
妻は可愛い、良い子とは言うが
どうも違うような気がしてならなかった
3歳くらいになった時
「ねえ、沙理って勉強させないとだめよね」
そんな唐突な言葉に、私は少し戸惑った
「僕らの頃とは違うから、勉強はさせたほうがいいとは思うけど
まだ、早いんじゃないかな」
そうはいったものの、そう言えば、妻は小学校から私立だ
そう言う家だと、3歳くらいから
勉強させないといけないのかもしれない
私は、その場でネットで小学校から私立の教育費を調べた
いや、これは、普通のサラリーマンであるうちの家庭では無理だ