悪魔が来りて・・・
早苗さんは私を育ててくれた母親のような人だ
早苗さんは私の祖父の愛人だった人だ
祖父は土地を転がして、大もうけした人で
育ちは悪く、ちょっと、人がビックリするようなことを
する人だった
子供の頃は施設で育ったが、そこから中学を出る頃に抜け出し
悲惨な人生を送ったらしい
そこらあたりは早苗さんも知らないらしく
私に話すときに
「別にいいんだけどね!
本妻さんは育ちがいいでしょう?だから、正反対の自分と似ている境遇で育った
私が可愛かったのよ
随分、年が違っていたのもあって
私が喜ぶと、何でもしてくれたわ
とってもハンサムだし、おしゃれでね
義男さんの時代はジェームス・ディーンとかの映画が
流行っていたんですって
スタジャン着て細いジーンズが似合ってる写真見せてもらった
ことがあるのよ」
祖父はもう、とっくに死んでいて
私はあったこともないのだけど
早苗さんの話からしか、祖父を知らないから
さぞ素敵な人なんだろうと思う