馬の耳
沙理は、もう、すっかり大人だ
よく、沙耶と二人でやって来たものだ
「ママは何にもわかっちゃいないの
なんか、仕方ないって感じ
あの、おじいちゃん、おばあちゃんだものね
私は小学校の問題は十分できるのに
ママにはわからないのよ
お受験は終わったから、これからは小学一年生用の
進学塾に入れるって張り切ってるの
きっと、塾代を出してほしいって、頼みに行ってるのよ
でも、進学塾なんかバカバカしいの
中学受験の問題くらい、私、解けちゃうから」
沙理の話を健介は全く疑わなかった
色々普段話していたり、テレビを見ながら
家族で突っ込みを入れたりするとき
沙理の頭の良さはよくわかる
沙耶はそれに気が付かないのだ
「私、小学校もバカらしいから行きたくないんだけど
無理だよね?」
健介は沙理の気持ちはよくわかる
勉強のために学校に行かなければならないとしたら
もう、それは必要なさそうだ