......の無い

翔子になって生きる
彼女がこの学校から転校してしまうと
また、元のように誰からも振り返られることの無い人生
親の暴力に怯えるだけの毎日が始まった

しかし翔子であることで前とは全く違う毎日が始まった
そして自分の名前は捨てた

古い汚い服はさっぱりと自分で洗って着ることにした
風呂に入れてくれなければ公園で髪を洗った
親が酒を飲んだり暴れたりしている空気は全く無視した
何か言われそうになったら
すぐに図書館に逃げた
遅い時間ならコンビニで立ち読み
そして、交番に駆け込む

近くのおまわりさんは翔子の本名は知っているが本人が

「翔子って呼んで!」

そういうのだから、
そう呼んであげようと不憫に思ったのだ
翔子の家の内情は知りすぎるほど知っている