その先

その人は病気で亡くなったそうだ

横で聞いていて、なんと切ない話だろう

澄子ちゃんは何も知らないまま

全てが過ぎ去っていった

唯一愛した人だったろうに

あの母親の罪

もちろん、そうならないように

あの人から離れる勇気は

必要だっただろう


いくら、絶対君主だったとは言え

私からは考えられない

もちろん、学術的には

さっき信行さんが話していたような

理解すべきことはあったとは思うが

いくらなんでも、悲しい話だ


しかし、信行君は伸び伸びと


「これはこれでよかったんだよ

僕はおじいちゃんたちに育てられて

楽しかったし幸せだったし

父からは十分な愛情と

教育費をもらったからね