その先
「小学校の頃は神童と呼ばれていて
高校は実は僕が行く予定だった
県内のトップ校にも行けたのに
女の子だからって親に止められたとか
すごい噂を聞きましたからね」
「ああ、そんなこともありました
でも、なんの野望も
向上心も持っていなかったわたしは
ただの田舎のおばあさんに
なってしまいましたよ
やはり、あの電車の中の会話は
あなたの勝ちですよ」
長い年月が二人の間にあることを
痛感した
「でも、幸せだったんでしょう?
そして、今も幸せなんでしょう?」
そう言われて、うなづいた
「向上心や野望は、
その対極だと思いますよ
私は結婚することもなく
今や、一人ぼっちです
良かったら、これからは
お茶でも飲みながら話をしに来てください
いや、私が行っても構いません」
ラインを交換して別れた