その先

その主人公は泥沼のような貧乏な

境遇から

のし上がっていく話だった

きっと、そうなんだろう

犯罪者の子供が夏目漱石は読まないだろう

高校生のわたしはそう考えた


かなり、わたしは馬鹿だったと思うが

つい、言ってしまった


「何か、冤罪?

そう言うことかもしれないわね」


「すると、彼はニヤリと笑った

俺の目の前で、浮気した母親を

父親が刺したんだ」


わたしは言葉を失った

そして彼とはそれっきりだ

次の日から彼は朝の電車で見かけなくなった