暇な奴ら
「この車は夫の物
私は車には興味ないから、わざわざ、買うのももったいないから
夫のを運転してるだけだよ
じゃ!」
はっきり、さよならと言ったつもりだ
これ以上は喋りたくないオーラも出したと思う
それなのに、彼女は
「あ、あの、私、新海と言います。
よかったら、乗せてもらえませんか?」
あまりの図々しさに唖然とした
「あ、わかっています
常識外れのこと言ってますよね
ちょっと、どうしていいかわからない・・・・
というか・・・お願いします
話聞いてください」
速水は小さなころから、知らない人とのコミュニケーションは
全き苦手で、普通に学校生活も送っていない
16くらいから、みぃのところのスタッフしか大人は知らないのだ
タケオだって、近づいてきてくれたから
結婚まで行ったようなもので
人と話をするなんて、自分には無理だと思っている
新海は速水がそんなことを思っているなんて
全く考えていなかった
セレブマダムで誰にでも愛想のいい素敵な人
そんな風に誤解していた