ただ、毎日を

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真澄は少し泣きそうになる
夫とは結婚して、子供を作って、
家庭を築いてきたと思うのに
一度も心が重なった記憶はなかった
夫は子供に興味なんか持たなかった
勉強だって出来ようが出来なかろうがかまわない
大学に行こうが、最悪、高校に行かなくても
別にどうでもいい
ただ、健康で毎日元気ならそれでいい
そんなスタンスで、真澄にとっては信じられない父親だった

学校でも塾でも、熱心な父親はたくさんいた
夫は小学校低学年までは父兄参観など
よく出てくれていたのだが
中学高校になると、少年院などの世話になるほどの
悪ささえしなければそれでいいと思っていたようだ

歯がゆいばかりだ
そして、孫が賢く、孫の教育に携われると
海外から帰ってきたときには喜んだのに
真澄の意見など歯牙にもかけてもらえない

でも、真澄は元気だった
この元気をどこに持っていったらいいかわからなかった
性格的にもボランティアなんかまっぴらだし
趣味にするほど何かに打ち込むことはなかった