おばさんであること

2人とも驚いた

今までの明美の話からは

そんな感じの旦那さんには全く思えなかったからだ


「でも、その愛人って、本当にいたんでしょう?ほら、香水の匂いとか言ってたじゃない」


「それが、その香水

夫のカバンから出てきたの」


「え?自作自演ってこと?」


「そう、私と結婚した時から

ずっと、私に引け目を感じていて

私のことは本気で好きだったんですって

でも、私は父に言われたから自分と結婚したんだって思ってて

ずっと、コンプレックスになっていたって

仕事でも、私の父の力で随分

優遇させてもらったけれど

父が引退してからは、全く厄介者だったって

言うのよ」


「なんだか可哀想」


美也がそう呟くと

満里奈も


「本当だよね

旦那さんが言う通り

明美はお父さんが勧めるから結婚したんでしょう」


「うん。そうなんだけどね」