悪魔が来りて・・・

私に親がいたのか!

いや、理屈ではわかっている

それはいるだろうが、こうして目の前で見ると

不思議としか言いようがない

それに、二人とも私たちのように祖父が死んだのを

心から悲しんだりしていないし

私の親ならば、もう少し、私を気にかけてもいいだろうに

全く私を見ようとしない

早苗さんはもしかしたら、祖父の死で気が動転して

わけのわからないことを言っているのかもしれない

 

祖父の葬式も終わって、私はまだ、大学生だったので

早々に東京に立とうと思っていた矢先

親族の中では一番出来の悪いおじさんが

 

「早苗は爺さんから、たんと分け前はお貰ったんだろう?

あの家と土地、そして、早苗が一生食べていける金は

婆さんも納得してることだからいいとして

その上に、静の教育費もっていうのは

虫が良すぎやしませんか?」