風邪をこじらせて
この女も、まったく同じだ
きっと、私と話していても
相手の気分や感情もわからないし
私が何を言っているかもわからないのだろう
だから、私がカラスを黄色だと話しても
カラスは黒だから黄色と言ったかもわからず
目の前の私の悪口を言いながら
自分は親切で立派な人間だと思い込んでいる
時間の無駄
私はそう思う
しかし、この女には逆らえない
なぜなら、夫の会社関係のお得意様だからだ
しかし、彼女は気さくな顔をして
そんなことは、全く関係ないとポーズをとっている
私は窓の外をも少し気にした
彼女がスマホを見て、メールか何かに気をそらしたからだ
目を見て話す
そんな基本を破らないようにするのが私の流儀だが
この女の目には小汚い欲望の悪露が溜まっていて
私は、それを見続けることが苦しかった