悪魔が来りて・・・

ただ、そう言って近寄ってきたとき

私は素直に喜んで、たびたび話すようになったのだが

その子の目的は違っていたのだ

頭のいい子だから、大人の話によく耳を傾けていた

一つは父親が、酒を飲んだり、何かの拍子に

暴力に走るし、兄妹は多いしで

いつも緊張して、人の話を聞いて暮らしていたのだろう

何か、私の話を聞いているらしく

 

「普通だね!ううん、普通以上だよ!」

 

話の終わりにそんなことをたまに言った

いつもお古ばかり着ているのが可愛そうで

早苗さんに一度

 

「私の古い服を友達にあげちゃダメかな?

その子、私より小さいから、去年のとか着れると思う」

 

そう言って見ると、早苗さんはとんでもないと言うように

 

「ダメダメ!全部、ちゃんと取っとくの!

静さんの物は、何でも大事に取っておくのよ

いつか、私がおばあさんになって、それを見ながら

昔を思い出して楽しむんだから」

 

早苗さんは村の人たちと違って、愛情表現は

必ず、口に出してしたから

私は随分、かわいがられていることをよく知っていた