悪魔が来りて・・・

あ、そうだったのか

私はそれ以外,何も思わなかった

そして、これまでのこと、すべてに合点がいった

そういうことか

村でいつも特別扱い

でも祖父のおかげで、その特別扱いは

私にとって嫌なものではなかった

早苗さんは本当にかわいがってくれた

それは、一緒に小さなころから暮らしているのだから

よくわかる

とにかく、褒めてくれた

それも、心から

それは、私の生まれがそんなだから

いったいどんな風になる祖父と祖母、

そして早苗さんは不安だったのだろう

祖父は不憫がって、十分すぎるほどの贅沢と

教育をしてくれ

自分の愛人に託すことで

よけいな親族から守ってくれた早苗さんはその信頼に答えただけじゃなく

私を心から愛してくれた

冷たい目で遠くから見ていたのは祖母だけだった

 

「大奥様が、もともと、行けないのよ

智彦さんをものすごくかわいがって

智彦さんって、ほら、中学の頃から

女にだらしなくって、村の色んな子に手を付けていたから

家に閉じ込めていたでしょう

都会から家庭教師にまで来てもらって

勉強させていたよね

それにしても、まさか、妹にまで手を出すとは

考えてもいなかったんでしょう」