2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

恋をする時

速水もそうだった 小学校から大学付属の学校で 家族ぐるみの仲良しだった 中学から入って来た子 高校からの子 中学からの子はまだ、同じようなところはある 中学受験で大学付属のお嬢様学校を選んでくる家は それなりに金銭的には裕福であったり 偏差値はそ…

逃亡

「そんなことだろうと思ったよ チェリーの母親とか智久とかは、そいつらには わかっているのかい?」 「いや、チェリーはダイレクトメールは送って来てなかったし ちょっと、俺が金にしたかったから、黙ってた 俺の追っかけにしては、お金持ちのお嬢様は 初…

恋をする時

速水は、本当に間違いのない『~反抗らしい』 そう、面白がりながら 「差別じゃないんじゃない? だって、小学校から今の学校の子と 高校から入って来た子の違いは その子供の違いじゃないのよ あなたたちは、同じ生徒だと思ってるから 学校で同じって考える…

逃亡

「図体だけは立派なやくざだけど 実際は役立たずの木偶の棒だったってわけかい」 拓は苦笑いしながら 「その通り! でも、俺、歌はうまかったから それを使って儲かることを考えろって言われたんだ 俺、頭も悪かったから、何も考えつかなかったんだけど 今の…

逃亡

拓はその嘘の端正な顔を曇らせながら もう、観念したのだろう 私が少し話の口火を切ってやる 「あんたの実家は北区の小さな工場だったんだよね お姉ちゃんが一人」 「ばあちゃんすげえな!探偵でも雇ったのかよ? その通り、父ちゃんが酒飲みだったのもあっ…

恋をする時

みぃはとっくに家から出ていて 正二に経済、株に関する英才教育を受けていた 速水は反抗したかったわけでも 親から離れたかったわけでもなかった その、性依存症の 病気をみぃのところでうまく開花させてもらって 親には後ろめたさしかなかった 星人は反抗期…

恋をする時

嫁入りの時に、そんなおつきのお手伝いさんまでつけてもらった お嬢様で、速水が知っている限り 本当に心の綺麗な人だ 反抗期とはいえ、章子はどうして母のことをこんな風に言うのだろう 中学くらいまでは、もっと、母親を大好きな子だったと思う 「パパは?…

逃亡

拓が私のスマホを取り上げて投げつけようとした 「12万だよ!勘弁しておくれ!」 私がさっと取り上げると 「糞~!削除しまくったのに、まだ出回ってたのか」 身長180ではあったが、相撲取り並みに太って 学生服前ボタンが止まっていない 丸坊主に埋もれたよ…

恋をする時

「癪なことって・・・ お母さんは何でも完璧じゃない」 速水は康太が二番目の結婚を小百合としたとき 『姉さんが僕の妻として 夢に見ていた通りの人』 そう言っていたのを思い出した そして、速水は 確かにそうだ、ミキは自分も 小百合みたいになってほしか…

逃亡

いや、チェリーの母親も兄もそうだ 一緒に住んでいただけで家族の形を成していなかったんだから 仕方のないことだ 「ねえ、おばあちゃん、いいでしょう? だって、正当防衛だし この子のパパになるんだもん 別に警察に行く必要はないんじゃない だいたい、ま…

恋をする時

章子は美味しそうに速水が作ったたこ焼きを食べながら コーラを飲む 「く~っつ!美味しいよ~! おばさん所って、いつ来ても、ちゃんとコーラとかあるんだね うらやましいよ~」 「星人が好きだったから、いつも買っておくの そろそろ帰ってくるかな~って …

逃亡

いつも、相手に合わせてしか話さず へらへらとしているショウの 本当の姿を見た気がした しかし、私は毅然として 「警察には行かなきゃだめだよ 日本は法治国家なんだからね! そして、ショウの父親の話は置いといて 拓は警察に行くんだ!」 すると、拓はシ…

恋をする時

速水は嬉しそうに章子を歓迎して 「ママには連絡してあるの?」 まず一番に聞く 章子の母親、康太の妻は速水が好きではないのを よく知っているからだ 中卒でそれからの経歴が全くわからない女 小百合からしたら怪しいとしか思えない 自分は良いとしても、中…

逃亡

拓が来て嬉しそうにしていた笑顔が 嘘のように消えてしまったチェリー まぁ、あの嫁と孫ならそんなものだろう いや、息子のところに行ったって同じようなことだ 私だって、20も若ければ、チェリーなんか捨てる この歳になって、暇で退屈だからこんなことにな…

恋をする時

章子はこの改札を通れば 母が大騒ぎするであろうことはわかっていた 怒られるようなことをしてはいけない 母にラインを入れて、友達の家によって帰る そう、嘘をつこうか? そう思ったとたんに弁護士である父の言葉がよぎる 『章子、いつだって事実だけが人…

逃亡

「警察に行くしかないだろう! それに、それが一番安全なんじゃないのかい?」 すると、ショウが 「警察に捕まれば、全部おしまいだよ 何のことかわからないけれど 警察に行かないほうがいい 赤ちゃんのためにも」 急に現れた味方に拓はショウを見る それか…

旅をしてきた

殿村の今の仕事も、会社内の整備、清掃の統括 そして、彼が持っている掃除のノウハウの営業 みぃの会社にとっては利益を上げている部門だ 文はだんだんと、内情を知ってくると 実際、ものすごく余裕があるのだ そして、その余裕は 殿村のような部門のおかげ…

逃亡

チェリーはただただ、嬉しそうに座っている 「それで、手ぶらなのかい? どこに隠したんだい? 警察だけならまだしも、変な輩だと困るよ いくら、チェリーのお腹の父親でも 追い出すからね」 私がすべてを知っているのに驚いたように拓は 食べる手を止めた …

旅をしてきた

殿村は勉強は得意ではなかった 家が貧乏だとかそういう事情で 高校に行かなかったわけではない 大学は無理でも、偏差値のない私立高校には 行ってほしいと言われたのだが 勉強は全くできない 中学の時256人中253番だった ただただ、苦痛だったのだ 座って…

逃亡

ショウはショックを隠せない顔でぼうっと立っている 「まず、説明!そして、あんたが誰でどうしてここに来たのか ちゃんと喋って!」 その私の言葉に 「あんた、チェリーのばあちゃんなんだろう? 俺がチェリーのお腹の赤ん坊の父親なんだ 俺もここに住んで…

旅をしてきた

16の年だった 掘っ立て小屋、怪しい商売 夜になると男たちがやってくる 殿村は掃除が仕事だった 女たちはみんな小汚い大人だった 田舎の真面目なガソリンスタンドの店員だった ここにいてはだめなんじゃないだろうか いくら、家で同然で出てきたとはいえ こ…

逃亡

「新聞の勧誘かなんかじゃないか?」 ショウがすぐにたっていく ショウは何となく、ここの用心棒だと決めている ドアを開けると 「ここに、チェリーがいるんだろう?」 その声と同時にショウの数倍イケメンで背の高い男が入って来た 「拓!!!!」 チェリー…

旅をしてきた

この会社には秘密がある 殿村は風俗小屋時代からのスタッフだ あの小さな風俗小屋に雇われたのは まだ、十代だった 四国の田舎から家出同然で東京に出た 中学を出て、近くのガソリンスタンドで真面目に働いていた 高校に進んだ輩がやって来て 仕事中に面白お…

逃亡

チェリーの唯一の得意料理 今日はカレーで、ショウは仕事場からすっ飛んで帰って来た ショウが牛乳から作ったヨーグルトにはちみつを入れながら 「チェリーのカレーには俺のヨーグルト 最高の相棒なんだよな~」 そう言って、デザートに出してくれる 最近の…

旅をしてきた

普通の会社ならばコネ入社の社員は 誰かの甥だとか、お得意先の子供とか 能力はどちらかと言いうと低く にもかかわらず、色々忖度しなければならないので 嫌われるし、それはあってはならない! というのが常識であるが この会社は能力のある人、気持ちの良…

逃亡

チェリーは毎日、私が起きる時間には起こして まず、掃除をさせる それから朝ご飯を作る ショウが仕事がない日は 朝、6時頃やって来て、シャケに卵焼き そして美味しい豆腐とアゲの味噌汁みたいな 完璧な朝ご飯を作ってくれる 食パンを焼いてウィンナーを付…