逃亡
チェリーの唯一の得意料理
今日はカレーで、ショウは仕事場からすっ飛んで帰って来た
ショウが牛乳から作ったヨーグルトにはちみつを入れながら
「チェリーのカレーには俺のヨーグルト
最高の相棒なんだよな~」
そう言って、デザートに出してくれる
最近のチェリーはだんだんと、
ショウが帰ってくるのを待つようになって来ていた
ショウはショウで前のようにチェリーを全面的に
肯定するのではなく
色んなチェリーの知らないことはしっかり教えなければ
そんな感じで兄のようだ
実際、中卒のショウのほうが勉強だってよくできそうだ
そんな夕食が終わったころ
ドアを叩く音がする
「パパかな?」
チェリーは父親の訪問を待っているところがあったが
あれ以来、顔も出さない
息子の気持ちはわかる、男関係がゆるゆるの
自分の娘なんて、真面目な息子から考えたら
わけのわからない会いたくない娘なのかもしれない
でも、父親だ
たまには顔でも出せばいいのに、私もそう思うが
今のドアの前に立っているのは息子ではないだろう
息子は一か月ほどカナダに仕事に行っていると
ラインが来たばかりだったから