恋をする時

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嫁入りの時に、そんなおつきのお手伝いさんまでつけてもらった
お嬢様で、速水が知っている限り
本当に心の綺麗な人だ
反抗期とはいえ、章子はどうして母のことをこんな風に言うのだろう
中学くらいまでは、もっと、母親を大好きな子だったと思う

「パパは?元気にしてる?」

「うん。仕事が相変わらず忙しそう、でもね
今度、三人でカナダに行こうって休みとってくれてたんだけど
私が行かないって、わがまま言ったの」

速水にしてみれば、康太がそんな普通のお父さんに
なっているのがおかしい
そして、速水は章子の母親への反抗心ってやつは
ものすごく健全な物のように感じた
健全な反抗期!
それは、速水たち一族には無用なものだった

速水の母親のミキの姉弟は反抗できるほど幸せな家庭ではなかった
ミキは中学を出てすぐに、母親に風俗に売られ
康太は有名私立中学に姉にやってもらっている時期で
反抗なんか思ってもいなかっただろう