2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

不思議なことを数えれば

タケオは 「僕の人生もそうだし、人に流されることで多くのいいこともあると思う 僕は人に流されやすい人間だったから 高校受験に失敗したとき、周りの目に耐えられなかったし また、大学に行こうと思ったことも 周りの目を気にしてだった だから、そのこと…

発達障害の母

私は子育てをするときに、一番に決めていたことは 子供を子ども扱いしないってことだ まだ、小学校に上がっていない私とおんぶした赤ん坊の弟 母は私には何もわからないと思っていたのだろうが 店の物を万引きする母を私は恐ろしい思いで見たものだ 新しい女…

不思議なことを数えれば

基本、速水といれば働かなくてもいいし 父親はやらなくてもいいはずのタケオは 不思議そうに速水を見た 「え?だって、お父さん、大学教授だよ その人が言ってるんだから、それが一番いいでしょう? 僕なんか門外漢だし、 それに、確かに、学校なんかくだら…

発達障害の母

父ならば、少し間抜けであっても そう言えば、小学校の時、私の同級生の母親と 浮気をしたってことも その長所、短所ひっくるめて私の父であり 私にとってはどんなにダメなエピソードも 好ましく思える 浮気のことも、小学生の私にとっては 普通ならばショッ…

不思議なことを数えれば

タケオは少し驚いたが すぐに明るく 「お父さんに相談して、それでいいって言ったんならば 絶対に間違うことはないだろう? それで、いいんじゃない?」 速水はそのいい方が気になって 「私たちの子供だから、私たちでちゃんと考えたいの 私はそうしたいけれ…

発達障害の母

もう、ここには二度と帰って来ない 東京の大学に出るときに、そう心に誓ったはずなのに 私が子供と一緒に帰って来たのは 父があまりに可愛そうだったからだ 頭がよくて誠実で、少し芸術的な物を見る目が合って 動物が大好きだった 母は父のこと気が短い、男…

不思議なことを数えれば

「タケオ君は、そうすることに納得してるの?」 「さぁ、タケオさんはそんなこと、どうでもいいんじゃないかしら」 確かに、タケオは速水がそんなことを言っていたような気もしたが どうでもよかった もちろん、自分の子供のことだ タケオは速水と自分の子供…

発達障害の母

私はそのまま、母のそばにいることに恐怖を覚えた このままでは私は母をきっと殺してしまうのかもしれない 普通の人間ならば、そんな娘の様子を見て 何かただものでないものを感じるであろうに 母は何事もなかったように 洗濯物をストーブの前に置く 私は今…

不思議なことを数えれば

「あ、父はね女に対してはひどい人間だったけど 教育者としては一流だったんだ 集団でたった一人のかけがえのない個性を教育して ただ、つまらないバランスの取れた人間ができることを憂えていたんだよ 人は一人一人の子供に 全力で当たらなければならない …

発達障害の母

私は無意識のままに 手に持っていた本で母の頭を殴った もちろん、そんなに力を入れてのことではなかったから 母も痛いとも言わずに、ただ、殴られた理由がわからない感じだった でも、私は震えた 私の中に母を殴りたい気持ちなどかけらもなかったのだ 殺し…

不思議なことを数えれば

「父は昔の人だったからね 妾の家にいついつ来るなんてこと 言うような人じゃなかった 母は父がいつ来てもいいように 僕に家から出るなと言ったんだ 小学生の子供に家を出るななんて 全く無茶な話さ でも、その頃の僕は母と全く一緒だった お父さんに会いた…

発達障害の母

母は洗濯物をその日のうちに取り込む もちろん、それは良いことだが 冬の日、そんなにちゃんと乾かない日もある そんな日も取り込んできて、まだ乾いてないのに気が付けば ストーブの前に置くのだ そのストーブですら私が口うるさくつけるなと言っているもの…

不思議なことを数えれば

ミキは夫がそんな風に考えているのならば もしかしたら、正しいのは速水のほうかもしれないと 少し思い始めた 「実は僕はね、小学校の間はほとんど学校に行ってなかったんだ」 それは初めて聞く話だ 「母はその頃で言う、お妾さんだったって話はしただろう?…

発達障害の母

最初はそんな風に思う自分が嫌いで 自己嫌悪にも陥ったのだが そのうちに、平気になって来たし 母を見ていると、イライラしてきて そんな風に思うくらい、罰は当たらないだろうと思い始め 爺さんといちゃ一話している声を聞くと 後ろから首を絞めてやろうか…

不思議なことを数えれば

え? ミキは声も出なかった 「だって、君だって世界でたった一人で 他の誰でもないだろう? 速水が幼稚園に入るときに思ったんだ 速水は世界にただ一人の僕らの子供で そんな集団の中で集団生活の必要性を 学ぶべきなのだろうか?ってね もちろん、日本に暮…

発達障害の母

それがいつの間にか、そんな老人に手をかける人たちの側になって ニュースを見るようになった その一つ一つを見て、 どうせ、この年寄りがろくでもない人間だったのだろう 母の友人が老人ホームにはいっていて 文句ばっかり言っているのをたくさん見た お金…

不思議なことを数えれば

それはミキが考えてもいなかったことだった その時は反論もせずに 心にモヤモヤを抱えたまま帰って来た 子育てはできるだけ手伝うが、その方針には 口を出さないほうがいいだろうとは思っていたのだが ここまでだと、これでいいのかと思ってしまう 家に帰る…

発達障害の母

私は最初、母に対してよりも 老人が家庭内で子供に殺されたり 老人ホームでの老人に対するヘルパーさんの暴力 そんな物にものすごく賛同するようになった ほんの数年前は、そんな気持ちが自分の心にわいてくることなど 全く考えられないことで 老人相手にそ…

不思議なことを数えれば

ミキの人生は普通の常識的な人になることだった そして、そのことが最近バカげたことだったと 教えてくれたのは速水の人生なのに それでも、まだ、自分の常識的な人間 標準的な日本人になりたいという思いを否定できないでいる もちろん、仕事に貴賤はないは…

発達障害の母

私自身も世の中で言われているように 性的なトラウマに悩まされることもなく ごく普通の性生活で生きてきた気がする だから、母に対するたくさんの恨みつらみの中で そのことを思ったのは父の入院の時だった 死が近い父の入院は好きな買い物が好きにできる …

不思議なことを数えれば

タケオがこの世界に帰って来て 待っていた女は多かった 少年でなくなったタケオは ものすごい人気になっていた タケオの容姿、これまでの人生、そしてそのテクニック 木佐が今は事務所を仕切っていて 笑いが止まらない タケオの一晩の値段はうなぎのぼりだ …

発達障害の母

世の中にたくさんの幼児虐待がある しかし、私の子供のころは 親のすることだ、しつけのために手を挙げることもあるだろう そんなことは普通のことだった 小学校の友人は体操服を着替えるときに 背中に赤い叩かれた跡があり 「昨日、お父ちゃんが酒飲んでベ…

不思議なことを数えれば

速水としては母にはあまり言いたくなかった タケオは今でも男娼をやっている 速水はそれはそれでいいと思っている タケオが自分でやりたい仕事は 別にどんな仕事と言うようなことではなかったのだ タケオが大学に入ったのも それは、何となくまともな立ち位…

発達障害の母

父の親戚の中での立ち位置がわからずに 右往左往してさげすまれていた母が 私がどんなことをされるのか知っていて 人身御供にしたんじゃないか 父の死を宣告された病気の前でも 自分のことのほうが大事なのだ それも、ほんのくだらないことで 今思い出しても…

不思議なことを数えれば

タケオと速水が新しい生活をはじめ ミキは新しく生まれてくる赤ん坊のために 何かと速水の手伝いに行った そして、タケオとの結婚が決まってから 気にはなっていたけれど 聞けなかった、タケオの仕事のことを聞いてみた いったい、何をしているんだろう もち…

発達障害の母

その時に、私は鮮やかに五、六歳の頃を思い出した あの頃、私は年上の従弟 たしか、中学生くらいの男子に 体をよく触られたことがある 伯父の息子で本家の子供になる 今でいう幼女虐待じゃないだろうか 母はあの頃、それを分かっていて 従弟に私を差し出した…

不思議なことを数えれば

タケオがもちろん、速水のことを 何をも変えがたく愛しているのではないのは よくわかっている しかし、自分にとって、速水が ちょうどいい相手であるのはわかっているし 子供のこともタケオが計画的に仕掛けたのだあろう もちろん、財産目当てではないが 速…

発達障害の母

病院に入院して家に父がいなくなったことは 母の中でそうとう嬉しいことのようだった しかし、口では寂しい心配、不安、そんなことを言う その弾んでる心はわかりすぎるほどわかるし 母の楽しみは父の入院している病院の場所だった 車で一時間くらい 私は免…

不思議なことを数えれば

ミキは幸せそうな速水の顔を見ながら ハッと気が付いた 自分がくだらないことにこだわって 母を一方的にダメな人間だと決めつけていたんではないだろうか この世の中の人たちが正しいと決めたレールのようなもの そんな物に惑わされていたバカだったのは自分…

発達障害の母

その頃までは、母を普通の人とは違うし 少し、頭が足りないのもわかっていたし それでも、父に対しては真剣に愛していたんだろうと 信じていた私がいた 子供のころから母はそのことを子供の前でも頻繁に 口にしていたし 子供の目からは母がどんなにダメでも …