不思議なことを数えれば

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「父は昔の人だったからね
妾の家にいついつ来るなんてこと
言うような人じゃなかった
母は父がいつ来てもいいように
僕に家から出るなと言ったんだ
小学生の子供に家を出るななんて
全く無茶な話さ
でも、その頃の僕は母と全く一緒だった
お父さんに会いたかったんだ
お父さんが来る日を待って、お父さんが母のところに置いてある本を
片っ端から何度も読むことが遊びだったんだ

父はね随分後になってから
僕の育て方のことを母に褒めていてんだ
学校なんかくだらないところにやらなくて
本当に良かったって」

「本当に良かったの?」

ミキはそれがよかったなんて
その、父親の妾の子供への
憐みのような気がしたのだが