不思議なことを数えれば
それはミキが考えてもいなかったことだった
その時は反論もせずに
心にモヤモヤを抱えたまま帰って来た
子育てはできるだけ手伝うが、その方針には
口を出さないほうがいいだろうとは思っていたのだが
ここまでだと、これでいいのかと思ってしまう
家に帰ると、口数の少ない妻に沢田が心配して
「どうしたの?
速水の体調が悪いの?」
「ううん。体調は万全よ」
「でも、何か気になることがあるんだろう?」
沢田はいつだってミキを見ていてくれる
速水が出て行ってからは、速水のことは興味深く見守っているのだが
いつだって、一番に考えてくれているのはミキのことだ
ああ、そう言えば、速水があの世界に
みぃの世話で入ることになったときも
父親とは思えない冷静さだった
沢田はいつだって答えを持っている
「実は、速水が子供を学校にはやらないっていうの
もちろん、幼稚園もそうなんだけど」
すると、沢田は嬉しそうに声を上げた
「そうか!良かった!そうしてほしいとは思っていたんだよ」