不思議なことを数えれば

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タケオがもちろん、速水のことを
何をも変えがたく愛しているのではないのは
よくわかっている
しかし、自分にとって、速水が
ちょうどいい相手であるのはわかっているし
子供のこともタケオが計画的に仕掛けたのだあろう
もちろん、財産目当てではないが
速水が一文無しならば、きっと、目もくれなかっただろう

ミキも速水もそんなことはよくわかっていた
しかし、速水が何よりも望んでいたことで
タケオだって速水が好みであることは確かだ

沢田は嬉しそうに

「一番好きな人と暮らせるって言うのは
何よりの人生のだいご味だよ
速水はタケオ君に首ったけだから
幸せになれるさ
子供もいることだし、タケオ君はバカじゃないからね」

そうミキの手を取った
その幸せはミキにとって何にも代えがたいものだ
そういう男に出会ってよかった
二人の子供が万が一母に似ていたとしても
全く気にならない
そう、そのほうがいいかもしれない

自分のような人間に似なければいい
常識にとらわれて、人の目ばかりを気にしているのなんか
本当にばかげている
ぜひ、母のような人間に似ているように

ミキは今心からそう、思った