不思議なことを数えれば

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ミキは夫がそんな風に考えているのならば
もしかしたら、正しいのは速水のほうかもしれないと
少し思い始めた

「実は僕はね、小学校の間はほとんど学校に行ってなかったんだ」

それは初めて聞く話だ

「母はその頃で言う、お妾さんだったって話はしただろう?
母は全く、ただの女で
取柄もなかったし、仕事もできなかったし
子供を産んでしっかり育てるなんてことには無縁の人だったんだよ

ただただ、父を愛していて
父が家に来る日を待つだけの人だったんだ
そして、父の機嫌を取ることだけが
生きる支えのような人で

父は僕が生まれてからは、すっかり母には興味を失っていたんだけど
僕の顔を見に、一か月に一度くらいはやって来たんだ