2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

姉のこと

あの頃のつたない想像 小学生が知っている間違っていない常識を駆使して 理想の家庭を考えていた 親は、せめて父親は大卒 仕事はトラックの運ちゃんとかじゃなく 市役所とかに勤めていてほしかった 母親は専業主婦で優しくて料理がうまくて 男好きではないの…

魔女

それは二週間くらいのことだった 引っ越してきて、くうちゃんと遊ばせたのは二週間くらいだった 遊びに来るように言われると 私はくうちゃんだけを遊びにやることはしなかった それは、私のバイトの時間でもあったからだが そうなると、正野さんは私がずっと…

姉のこと

康太は今は何とも思わない 自分のような家庭に生まれても 今はあの、生まれでよかった 最近、仕事で知り合った中学受験をした人や 子供が中学受験に直面している父親に 話を聞くと、かなりのストレスだと言う しかし、自分のことを考えると ただただ、楽しか…

魔女

私は『頭が悪い!』という言葉は 世の中でNGワードだと長いこと思っていて 使い始めたのは40代後半に入ってからなのだが その頃の私に教えてあげた その女は頭の悪い、怪しいやつなのだ しかし、その頃の私にとっては不思議な人でしかなかった 「あなた、…

姉のこと

康太は姉がいなくなって 母はとうに死んでしまってから やっと、小学生の自分から抜け出せた なんで、あんなに反発して、なんであんなにとがっていたのだろう 姉がいなかったら、いったいどうなったか怖くなる 今は普通の女の人と普通に結婚して 普通の家庭…

魔女

田舎の高校ってやつは、本当に同じ価値観がで成り立っていて ちょっと、違うことをしただけでも不良呼ばわり そして、その不良ですら同じような人たち 高校を出て1,2年、東京に出て来ても 周りはほとんど学生、それも偏差値が一緒くらいなのだから 真面目な…

姉について

姉がいなくなって、一番寂しかったのは速水よりも 康太だったと思う 速水は両親の恋愛とかを理解できはしないだろう 康太は速水はかわいかったし、何かあったら 全力で力にはなるつもりでいる しかし、速水はやはり恋愛に関しては姉とは違う そして、母に似…

姉のこと

楽しかった! この家に生まれてきて良かったと思った 康太は楽しくて仕方がなかった 勉強はよくわかる 成績はただ上がるだけ 姉の塾用の弁当は贅沢なものではないが 手がかかっていて美味しい 特にあの悪ガキの成績の下のクラスはとっくに追い越して お弁当…

魔女

お母さんなのに長い髪 今時ではこんなことは思いもしなのだろうが 私は母のことや、知ってるお母さんたちは だいたいショートカットか後ろで結んでいる まぁ、あの頃、おしゃれな人が周りにいなかった 私自身、高校の頃まで父の友人の散髪屋に行っていたせい…

姉のこと

小学生だった康太には この家に生まれてそんなことができるなんて 考えられないことだった 姉が帰ってきてくれて嬉しい でも、中学受験が出来る家にはなれないと思う 小学校でも中学受験をする家の子は ちゃんとした家だし、勉強熱心な母親がいる所だ あの悪…

魔女

そのころの私には何一つ見えてなかった 正野さんって人は子供をだしに私と話したかったようだ 私に興味があったとかではなく 人と話すのがただ単純に好きだと言う感じだった 実は私は学生でくうちゃんを預かっているのは 夏休みのバイトなのだと説明したかっ…

姉のこと

驚いている康太を優しく見守るように 美味しいものを作ってくれて 優しいあいさつをするだけ それだけでもほっとした みぃは大喜びで、じいさんも嬉しそうで 家の中はほっこりと温かくなった そのうち母親のように学校の参観日にも来てくれた みぃにはかわい…

魔女

白と黒で統一されたサッパリした部屋 くうちゃんはすぐに 「瑞樹ちゃんのおもちゃはないの?」 私の部屋は貧乏な学生の部屋である代表のような部屋で 何にも置いていない、電気炬燵が一つ それが家具のすべて 服は押し入れに収納できる量だし お茶碗とお味噌…

姉のこと

何もやる気がなく、面白いこともない 自分のこれからに夢がひとつもない そんな時、突然帰ってきたのが姉だった 姉がいるのは知っていた 会ったことがなかった 知っている女ってものは母だけだったから どうせ、母のような女だろう ただ、見た目と最初の挨拶…

魔女

私の中にしっかりした固定観念として 子供がいる家庭というものがあったため くうちゃんのところは父親が性格的に問題がある そのための手助けだと思っていた しかし、この、瑞樹ちゃんのところはよくわからなかった その頃の私は、まだまだ、知らないことだ…

姉のこと

パンフレットを読んで 目が飛び出るほど驚いた 世の中に受験しなければ入れない中学があること そこは受験するのですら二万とかのお金がいる 入学金は数十万、そして年間の授業料!! いや、中学も中学だが まず、この塾に入るのにもお金がいる月に七、八万…

魔女

くうちゃんがかっこいい人は きっと優しいと勝手に信じている 私にはその、旦那という若い男は優しそうには見えなかった そして、正野さんの言う、私が苦労していると言う 彼女の言った意味も解らなかった 私は家庭というものに対して、その頃 ものすごく固…

姉のこと

康太も塾は知っていた でも、学校の勉強についていけない子が行くところだと 思っていたのだ 康太の周りには中学受験という言葉もなかったし 世の中に私立の学校が存在することも あまりよくわかっていなかった 四年ともなると、クラスの中でも あの子は中学…

魔女

一週間くらいすると、部屋が片付いたから 遊びに来いと言う 私は興味津々でくうちゃんと遊びに行った 驚いたのは瑞樹ちゃんのパパもいたことだ いや、多分、パパではない 瑞樹ちゃんがパパと呼んでいるのだが 若い!私よりも下かもしれないと思った 「いらっ…

姉のこと

爺さんの実家は都内で代々医者の家だ 何処でどうして、こんなスケベじじいになったんだろう 娘があんな男好きなのを何で許せるんだろう 康太は小学校3年くらいにそんなことを考えていた 勉強は面白い、学校で悪ガキが 「お前の母ちゃん、また、男と逃げたん…

魔女

ちゃんとご飯を食べさせているのだろうか? 私の中に、チラッとそんな思いは浮かんだが 学生であった私は母親というものは すべての母親が子供のことを想っている そう信じていたし、そうじゃない例などは 今考えると、あまりニュースなどで大々的に 取り上…

姉のこと

姉はそれでいいと思っていた でも、康太は違う この家に生まれたときには、その姉はいなかった 康太は小さな頃から、誰にもなつかない子供だった いつも家の隅で大人しく絵本を見ているような子供でした 父親が無口な人だったから 似たんだろうってことで、…

魔女

瑞希ちゃんはそのご飯を見ただけで 「あ、白いご飯!」 それは、ここに来て始めての 感情のこもった瑞希ちゃんの声だった 「ふりかけかけて食べてね」 そう言うと 「ふりかけ?」 くうちゃんが 「そう、これかけて食べると、すっごく美味しいよ」 そう、教え…

姉のこと

みぃが幸せになったことを誰もが心から喜んだが 本当に、一番喜んだのは康太だった ほんの小さなころ ミキから見た家族は、ただただ、仕方がない そんなあきらめの対象だった 生まれた家がここだから 産んだ母親があれだから 学校は中学までしかいけないこと…

魔女

次の日から毎日のように瑞樹ちゃんは遊びに来た くうちゃんは大喜びだ バイトであるし食費も貰っている 私はおやつを上げたり、食事をとらせたりしながら お昼になっても迎えに来ない正野さんにあきれたが くうちゃんに食べさせて、瑞樹ちゃんに食べさせない…

秋風

幸せはどこから来るのか みぃはショウを前に照れまくっていた ショウは大木祐介をよく知っているので 心から喜べた しかし、母親の照れる顔は見ていられないから 「速水からプレゼントが届いていたよ」 「あら、あの指輪を用意したのも速水じゃないの? あの…

魔女

引っ越したばかりだと言うのに 正野さんは素敵な服を着ていて 良く似合っていた 私はその頃学生で、いくらバイトで稼ごうと そのブランドの服には手が出ない しかし、裕福な大学な友人にはよく流行っているもので 羨ましい目で見た しかし、瑞樹ちゃんの服は…