姉のこと
驚いている康太を優しく見守るように
美味しいものを作ってくれて
優しいあいさつをするだけ
それだけでもほっとした
みぃは大喜びで、じいさんも嬉しそうで
家の中はほっこりと温かくなった
そのうち母親のように学校の参観日にも来てくれた
みぃにはかわいらしい清潔な服を着せ
髪の毛を結んであげる
そして康太には
「ね、康ちゃん
学校の勉強、すごくよくできるんですってね
中学受験してみる?」
ミキは康太のランドセルの中にくちゃくちゃになった
中学受験塾のパンフレットを見つけていた
そして、康太の気持ちはわかりすぎるほどわかっていた
自分が中学三年の時に思ったことだ
成績は良かった、中学の先生には
難関高校も大丈夫だから、私が親御さんを説得してみよう
とまで言ってもらったが、母も父も祖父も
だれも教師と会おうともしなかったのだ
「無理!
私立中学なんか行けないでしょう?
それに、家で勉強するだけではとても無理だし
そのお金だってすごくかかるよ!」
ミキは康太には、自分のような思いはさせたくなかった
「大丈夫!お金はお姉ちゃんがなんとかする
ほら、あのパンフレット、あそこがいいって思うわ
お姉ちゃんね、何件か塾を調べてみたのよ
有名私立に行くなら、絶対、あそこよ!」