姉のこと
爺さんの実家は都内で代々医者の家だ
何処でどうして、こんなスケベじじいになったんだろう
娘があんな男好きなのを何で許せるんだろう
康太は小学校3年くらいにそんなことを考えていた
勉強は面白い、学校で悪ガキが
「お前の母ちゃん、また、男と逃げたんだろう?」
そんなことを言って、康太をいじめようとしても
康太は勉強ができることを心の支えに
相手には絶対にしなかった
頭が悪いやつの言うことをいちいち気になんかしない!
そう決めていた
でも、そう決めることで、家族のバカさも身に染みた
爺さん、母親、そして、おとなしいだけの父親
みんなバカで頭が悪い!
小学4年くらいになると
学校の勉強ができることで、プライドを保っていたのに
そんなことには目もくれない子たちが何人か出てきた
康太に憎まれ口を聞いていた一人が
ニヤニヤ笑いながら
「お前、つるかめ算とかわかるか?」
そう言って、塾のテキストを見せてきた
教科書さえ真剣にやっておけばいいと思っていた
康太には全くちんぷんかんぷんだった
中学受験をする連中がクラスに4,5人いたが
そいつもその一人だった
そいつは近所のアパートや貸家をたくさん持ってる家の子だった
悔しくて康太はすぐに塾に行ってみた