姉のこと
何もやる気がなく、面白いこともない
自分のこれからに夢がひとつもない
そんな時、突然帰ってきたのが姉だった
姉がいるのは知っていた
会ったことがなかった
知っている女ってものは母だけだったから
どうせ、母のような女だろう
ただ、見た目と最初の挨拶が上品だった
まるで、学校の先生のようないでたち
母が着たのを見たことがないような
真っ白なブラウスに、紺のパンツ
値段もわからないながらも高そうだ
そして、黒い低めのパンプス
声は優しく、落ち着いている
赤っ茶けた髪の毛をくるくるに巻いて
紫のなにやらわからない、素肌が出まくっていて
息子の康太が真っ赤になるような服を着て
剥げたマニュキア、細いヒールのスリッパ
そんな母をかぶせて想像していた康太にとって
全く目を白黒させるしかない、姉だった