姉のこと

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姉はそれでいいと思っていた
でも、康太は違う
この家に生まれたときには、その姉はいなかった
康太は小さな頃から、誰にもなつかない子供だった
いつも家の隅で大人しく絵本を見ているような子供でした

父親が無口な人だったから
似たんだろうってことで、誰も康太にかまうようなことはなかった
康太はいつも一人で、本を読んだりテレビを見たりするうちに
自分の家はおかしい、普通じゃないと思った
そして、母親がお金を持ってどこかに何ヶ月も行ってしまうと
じいさんは慌てることもなく

「またかいな~あと一週間もしたら
父ちゃんが給料もって帰ってくるから
それまではなんとか我慢しような」

そう言って、慌てて父に連絡を取ることもなかった
まあ、自分の娘が男を作って出て行ったのだ
そんなことを話すわけにも行かなかったのだろう

しかし、康太はうんざりだった
娘に何も言わないじいさんもじいさんだし
母親の男遊びを何もかも知っていて、知らんふりをして
黙ってお金を稼いでくる父も大嫌いだ

ただ、自分が小学校でいつも勉強が一番なのは
じいさんのおかげなのはよくわかっていた