2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

速水の子育て

すると、星人は最近は黙っちゃいない 「ママって変わり者だよね うちって、みぃおばさんの会社のおかげで パパも仕事バリバリやって、海外を飛び回ってるけど ママって本当は中卒でしょう? パパは私立大学だし、康太おじさんとか お祖父ちゃんみたいに東大…

おばさんであること

二人で美也を見た 三人の中では美也が一番人間として間違いないのは わかっているから いったいどんな恋愛をしてきたのか興味津々なのだ 「明美みたいに今のご主人が初めての人? もちろん、素晴らしい恋愛をして結婚したんでしょう?」 満里奈のその言葉に…

速水の子育て

速水は両親のようには子育てはできない 星人は可愛いのは確かですし ちゃんと責任をもって育てようとは思っている 何よりタケオと結婚にまでこぎつけたのは 星人が出来たからだ でも、大嫌いな義母にそっくりな口ぶり すべてが見栄から始まっているような そ…

おばさんであること

「今、何かそういうことに縋れる 最後の年齢なんじゃないかと思うのよ そう感じて、振り返ると 色んな恋をしたけれど あの時ほど恋焦がれて、素敵な恋はなかったって気がして 彼が一体どうなってるか、無性に知りたくなったの」 明美は呆れたように 「え~今…

速水の子育て

公文にやり始めると あっという間に小学校の勉強が終わってしまう 義母は嬉しそうに 「ね、速水さん、星人は日本で教育したほうがよくない? 公文の先生が、お勉強は日本のほうが進んでるって言うし 星人ならば、いい中学校・・・・ いいえ、開成だって夢じ…

おばさんであること

すぐに明美が 「もしかして初体験の相手だったとか?」 もちろん、三人とも生理は上がっている 明美のその質問に満里奈は首を振った そのことのほうに二人は驚いた 「だって、硬いお爺さんとおばあさんに育てられたんでしょう?いつの間にそんな・・・・高校…

速水の子育て

早く、イギリスに帰りたいと思っているのだが 両親を同じ時期に一気になくして その家の処分やなんかで、なかなか帰れない タケオはすぐに仕事に飛び回っている 星人は毎日やってくる義母と楽しく遊んでいる 「ねぇ、速水さん まだまだ、帰れそうにないんだ…

おばさんであること

「大学に入る前の3週間の出来事だったの もちろん、それっきり 俗にいうロクでもない不良ってやつなんだけどね 彼を探してるの」 二人とも本当に驚いた 育ちがよさそうで、アメリカでバリバリ仕事をする夫を持ち 趣味は文学的なことで 見た目も上から目線の…

速水の子育て

タケオは優しく 「俺の前では無理に悲しむふりをしなくてもいいさ 俺だって、あの母親が死んでも かえってありがたいと思うくらいで あの母親を野放しにしている父が死んだって 何とも思わない 世間で親の死を真剣に悲しむことが出来る幸せな奴らなんて そん…

おばさんであること

それは初めての恋だったこともあり 満里奈には誰の忠告も聞く耳はなかった 俊介が来れば心ときめき 俊介だけを見て、何か一言でもしゃべりたいと願い 満里奈とは同い年だが 中卒で、女慣れしている俊介には 満里奈の気持ちなんかその目線だけで 手に取るよう…

長い恋の果て

その速水は両親を失って ホッとしている自分がいた 完璧な恋愛をして、自分を産んで 子育ても十分すぎるほど暖かく優しくやってくれたのに 中学からの自分は 男の体にしか興味をしめさないなんて 親からしたら絶望的だろう 叱って、放り投げてくれたほうがよ…

おばさんであること

俊作は塗装工で仕事が終わると仲間と この店によくコーヒーを飲みに来た 店では大人しいし、身長は180センチ 顔はその頃はやった醤油顔ってやつで とにかくかっこよかった 満里奈は一目で恋に落ちた 一緒に働いている、近くの公立に通った美奈が 親しく話し…

長い恋の果て

ミキはそのまま、食事がとれず 入院したのだが、まっすぐに沢村の後を追ってしまった 自殺ではなかったけれど みぃも康太も、そして速水も それしかないと思った また、沢村があの世から手を差し伸べたのであろうと考えた 康太は一番悲しみに暮れたが ミキに…

おばさんであること

祖父母はすっかり店のほうは信用したのだが その頃の藤沢あたりの、海辺は危ない男たちでいっぱいだった そんなことはもちろん知らないまま 満里奈もそのカフェでバイトすることになった 春休みの間だけだし、何か起こるなんて思ってもいなかった その初日、…

長い恋の果て

あの家に生まれて 願いはただ一つ なんの妥協もなく、ただただまっすぐな純愛 そして、沢村と会ってそれを手にした もちろん、そこから速水が生まれ それなりの苦労や悲しみがあったが それでも、そんなことはどうでもいいことだった 沢村がミキのすべてを受…

おばさんであること

大学に合格した春休み 祖父母に 「私、バイトしてみちゃダメかしら?」 祖父はすぐに 「バイトなんかしなくったって 小遣いならあるだろう? 何か買いたいものがあるのならば おばあさんに言いなさい 女って言うのは何かと物入りらしいからな」 祖父はもう、…

長い恋の果て

正二が優しい目でずっと見ていたのは知っていた でも、風俗の世界で誰かを好きになるなんて 思ってもいなかったし そこにいる男たちにはまったく恋心なんか持つことはなかった もちろん、正二が人間として立派で素晴らしいことは よく知っていたのだが・・・…

おばさんであること

祖父母は立派な人だったから気弱で経営者の才能がなく何をやっても長続きしない父やお嬢様育ちでオムツも満足に変えられなかった母よりもよほどしっかり育ててもらった小学校の頃から祖父母のしっかりした教育と干渉の中でそれを不服とも思わなかった満里奈…

長い恋の果て

小学校の頃はただただ、どうしてうちのお母さんは よそのお母さんみたいじゃないんだろう 料理だってほとんどしない 家の掃除や料理、洗濯は小学生だったミキがした 楽しいことは何もない 家のことをやって、買い物をしていると 近所のおばさんたちは 『あん…

おばさんであること

「そうね、不倫とかそう言うことかもしれないんだけど まだ、彼に会ってないのよ・・・」 二人は、また満里奈が文学かぶれのようなことを 言い出したと思った 満里奈が生まれたのは神奈川の海の近くでした 祖父がひと財産築いて、長く憧れていた藤沢の近くに…

長い恋の果て

速水は茫然として何もできないミキの代わりに 父の葬儀の準備をした 星人は久しぶりの日本で、タケオの母と嬉しそうに遊んでいる やはり、この二人は馬が合うのだ 速水は少しいやな気はしたが タケオと二人で何かと忙しいので仕方がない みぃはあきれたよう…

おばさんであること

美也はやさしく満里奈を促した 「それで?」 美也は普段からできるだけ本音で生きていきたいと思っている その本音が美しいのだ 子供の成績を他の子供と比べるなんてもってのほかだと思っているし 自分が専業主婦として完璧に家族の縁の下の力になりたいと …

長い恋の果て

決して口には出さないが 二人の間にあった絶対的な恋 それが、速水を男の体へといざなったんじゃないか 医者に相談したわけではないが 漠然とそう思った 人は永遠の愛や恋を願うが 果たしてそれは、その二人にはすす晴らしいことかもしれないが 子供にとって…

おばさんであること

「だって、ご主人はずっとアメリカなんでしょう? 子供もいないし、市民大学とか俳句とか言って 出歩いているけど 所詮は男だろうな~って思ってたの」 満里奈はむっとして 「何よ!所詮は男って!そういうんじゃないよ」 美也が明美をやんわりとたしなめる …

長い恋の果て

速水は完璧なほど愛に満ちた育て方をされた そう、思っていた そして、自分は星人に対して、とてもそうはできないと 落ち込んだりすることがある それでも理屈ではなく星人を愛している気持ちが 子育ての原点になっている 生まれてからいつも話しかけてくれ …

おばさんであること

満里奈はここで言おうか言うまいか迷っていた でも誰かにしゃべりたいのは確かなのだが さて、この二人はどう思うだろう でも、この二人ならば後腐れはない 「私さ~ちょちょっと、面白いことしてるんだ」 美也は満里奈のことだか高尚な趣味なのだろう 俳句…

長い恋の果て

ミキはあれから沢村と結婚して 速水を産み、そして今の今まで 一度も沢村を恋うることをやめなかった それは、心からの物ではなく意図したものだった 母がああだったから、たった一人の男しか想い続けない 女になろうと決心していた 自分がやってきた仕事が…

おばさんであること

こんなストレスのたまらない会話が三人が会ったときの会話で しばらくは楽しかったが 実はつまらない 明美は徹が全く自慢の種にならなくなっても ママ友達に嘘をつき続けることが楽しかったのだ 子供の優劣なんか学校や塾やそんなくだらないところが決めてい…

長い恋の果て

初めて会ったのは新幹線のホームだった ミキは最初会った時から、好きだった気がする でも、自分の職業が職業だ その頃、恋人なんか絶対できないと思っていたし 仕事以外の一般の男性と知り合うことは 絶対しないようにしていた そして、そこでちょっと、話…

おばさんであること

「それなのに明美ちゃんに反抗するって言うのは 明美ちゃんに興味があるのよ お父さんの本当に好きな人の話に 耳を傾けるって言うのは 親に興味があるってことじゃない 喜ばなきゃ」 そう言われて、明美は嬉しそうに 「そうなのかな? でも、素直じゃないし…