おばさんであること

祖父母はすっかり店のほうは信用したのだが

その頃の藤沢あたりの、海辺は危ない男たちでいっぱいだった

そんなことはもちろん知らないまま

満里奈もそのカフェでバイトすることになった

春休みの間だけだし、何か起こるなんて思ってもいなかった

 

その初日、ウェイトレスも仕事を一生懸命している満里奈

周りのスタッフもまじめないい人ばかりだったし

オーナーの自治会長も、わざわざ見に来て

 

「あそこのかぐや姫か~

祖父ちゃんなんかいつだって、あんたの自慢話だよ

バイトなんかする必要なんかないだろうけど

社会勉強だと思って頑張ってね

時給は弾むよ!

満里奈ちゃんみたいな可愛い子が、入ってくれれば

お客は増えるだろうからね」