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「結婚して、欲しいものをすべて手に入れたときに、出会ったのが風香だったんだそれは若気の至りだとか単なる不倫だとかそんなものじゃなかった本気で彼女にのめり込み僕は彼女の部屋に入り浸りだった妻とは分かれてもいいと思っていたでも、風香は黙って死…

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それはよく知っているあの田舎で、すごい美青年だと思ったもの「それで、ここの1人娘に見込まれてね僕が生まれたのも東北だけどあなたや風香が生まれた、あんな場所だった僕が持っていたのは、顔だけでね才能も金も何もなかったけどこの顔で、一気にここの主…

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「でも、彼女と別れる決心がつかなくてねそんな時に、あなたがやってきたんだあの、風香との素晴らしい日々感情のままに行動する風香のどんなに魅力的だったことか」私が話を促すこともないまま彼は当時のことを全て話してくれた「僕はこう見えても、若い頃…

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「僕はね、今、人生をやり直したい!そんな風に悩んでいたんだ実はこの店は女房の実家でさっきの女将が女房なんだ」ああ、それで、直ぐに予約が取れたのか「今まで上ばかり見つめてこんなことで自分のやりたいことはできたつもりだったけれど随分、本当の道…

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「僕はね、今、人生をやり直したい!そんな風に悩んでいたんだ実はこの店は女房の実家でさっきの女将が女房なんだ」ああ、それで、直ぐに予約が取れたのか「今まで上ばかり見つめてこんなことで自分のやりたいことはできたつもりだったけれど随分、本当の道…

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そんなことを思いながら待っていると橋本が入ってきた昼間とは全く、違うすると、ここの女将もすぐ後から来て「主人がお世話になっています何か、お口に合わないものがありましたら遠慮なく言って下さいね今日は和歌山から立派な鯛、そして北海道からも今朝…

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ネットで調べてみると予約が取れなくて有名なところだったすごい人なんだろう数々の有名なデザイナーを輩出しているそこの副校長ネット情報では校長は先代の孫か何かで実際に学校を動かしているのは彼らしいすぐに、私を恐喝屋のように考えたのも仕方のない…

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「あ、覚えてくれてたんですね私は別にあなたに対してどうこう言うつもりもするつもりもありませんあの時は私にはなんのことかわからないままでこうして、田舎から東京に出てきてあの時、風香に何があったのか知りたいだけですあ、もちろん、話したくなけれ…

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そこに立っていたのはまぁ、ロマンスグレーの素敵な初老の男性だったああ、そうだ、あの時のイケメンも今や、そういう歳なのかでも、あの時の繊細な面影は一つもなくこの世界で戦って来たのであろう厳しさが漂っていた「あの時、若気の至りで名刺なんぞ渡し…

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今、私はその専門学校の前にたった大きなビルだ昔はそんなに有名だった気はしないが最近はテレビコマーシャルも流しているここから、若手デザイナーをたくさん輩出しているようだ受付で橋本健介と聞いてみるもちろん、今はもう、いないかもしれないすると、…

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「私の友達の友達が風香と同じ専門学校に通っていてその講師には奥さんがいたのに風香と同棲していてなんだか修羅場があったらしいって で、兄さんが風香の兄さんと同級生でそっちの方から自殺だったらしいって聞いたのよなんだか凄まじくてびっくり」その話…

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私は驚いて聞き返した「え?どう言うこと?」「やっぱりねぇ花ってこう言う噂は聞くネットもないしあえて聞かないようにしてるもんねでも、高校の時、仲が良かったの花だったから、もしかしたら知ってるかなって思ったの。本当に噂だけの話なんだけど専門学…

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名詞の名前は『橋本健介』風香が通っていた専門学校の講師だっただから、どうするってわけにもいかないその名刺は誰にも言わないまま長らく取ってあったが、何処かに行ってしまったしかし、名前はよく覚えているそれから3年くらい経って東京の大学に通ってい…

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花は何も言えなかったその男の人も全く知らない何も言わないでいると「風香は照れ屋だったからそう言うこと言えなかった自分が嫌いだったって言ってた花さんにはいろいろ教えてもらって今の専門学校に入れたのも花さんのおかげだと言っていました」「えっと…

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私は何も聞くことも何も言うこともできなかったただ、そこから、少し離れた場所に田舎では滅多に見ないような綺麗な顔の男の人が立っていた私が帰り道、友人達と別れるとすぐに、後ろから声をかけられたその綺麗な顔の男の人だった「もしかして、花さんです…

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田舎の同級生たちはほとんどが葬儀に参列していたそれでも、都会に出て行った子たちが帰ってこれなかったから人数は少なく、あの派手な風香にしては地味な寂しいお葬式だったほとんどが父親のガソリンスタンドの関係のようだった田舎に残っている友人では私…

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そんな仲だったし彼女は東京のデザイン専門学校に進み私は地元の農協に進んだ華やかな世界に飛んでいった彼女そして、地味な人生の始まりだった私の就職お互い接点も何もなくなっていた夏休みに帰った時も彼女からはなんの連絡もなく風の噂で、ものすごくか…

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彼女は美に関しての追求心がすごく私は高校まで容姿で褒められたことはなかったが「花はスタイルがいいし、顔が小さい絶対にジーパンが似合う」そう教えてくれたりしたものだ私は彼女が普通の点が取れるくらい勉強を教えていた風香が学年1垢抜けているお洒落…

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そんな大人しい、地味な高校生活をしていた私だけど一人、背が高くて、綺麗な風香という友人がいたいや、友人と言っては、相手はそうじゃなかったと言うかもしれない。ただ、3年間同じクラスで中学は違ったが、なんとなく近くにいることが多かった彼女は美人…

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「小学校の頃は神童と呼ばれていて高校は実は僕が行く予定だった県内のトップ校にも行けたのに女の子だからって親に止められたとかすごい噂を聞きましたからね」「ああ、そんなこともありましたでも、なんの野望も向上心も持っていなかったわたしはただの田…

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それからは必死で働きましたおかげで、人にも恵まれて牛の病気を調べたりしているうちに薬の関係者に深く関わることになって結局、今はこうしてやってるってわけです」私は真っ赤になった「素晴らしいですね同じあそこからが出発点だったのならば私の本好き…

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「父が働いていた職場の友人が北海道に行くことを勧めてくれてましてね私は牛の世話なんか勘弁してほしいって思って、親戚の工場に通っていたんですけどあなたと、あの話をしたでしょう?周りは向上心のない、ばかばかりだと思ってたけど、向上心のないのは…

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私は驚きで声も出なかった私には彼に何か悪いことをしたんじゃないだろうか?そんなことで、ずっと、心が痛んでいたのだ「あの頃は突っ張って、周りの高校生達をチャラチャラして!何が恋だ!なんて思っていたけど実は私は毎日、あなたに会うのが楽しかった…

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「当時は父を恨み、母を恨みもう、どうしていいかわからなかったよ高校に上がることも、どうやっていいかわからないし親戚の工場があなたが通っていた高校のある町にあったから毎日、あの電車で通っていたんだ不良になるほどのエネルギーもなく大人に言われ…

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「僕はあの頃、荒れていましてね」「え?全然、そんなふうには見えませんでしたよ高校に家庭の事情で行けない優等生って匂いをぷんぷんさせていて私はあの、電車の中の恋だの愛だのでチャラチャラした空気に辟易してましたから新鮮でしたよ」「ああ、やはり…

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「ああ、そうでしたかあの頃、お世話になっていた役場の人が北海道まで来てくれましてね広報誌にぜひ載せたいとああ、あの時のものを見てくれたんですか私は、あの頃、あれをあなたが見てくれればそう願っていましたよ願いは叶っていたんですね」「そう、心…

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あの頃のままのように彼は若々しかったそして、彼は笑顔で手をだした「手紙、ありがとうございます私も懐かしく思い出しましたでも、私は結構、あのときのことを思い出していたんですよ」「私もよく思い出しましたよあれから、北海道に行ってたんですね私は…

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会社の応接室に通された10階建てのビル大したものだと、上がってきた秘書の女性は美しい通されると「社長は、すぐに参りますから紅茶とコーヒーとどちらのしましょうか?」私が遠慮して、もじもじしていると「社長に手厚くもてなすように言われていますから…

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その馬主は製薬会社の社長だったでも、名前はあの彼と同じだった写真を検索すると歳は取っているが、彼だろうと思う東京の大手の製薬会社の社長だ今、会ってくれるかどうかわからないがあの時の彼にあって見たいと思う一体、どんな人生を歩いたのか向上心の…

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彼とはそれっきりだった二〇歳くらいの頃、農協の事務をしていた私が何かのついでに、彼の住んでいた地域の農協に行った時に彼の写真が飾られていてなんでも、北海道で頑張っているこの地区出身の若者!そんなキャッチフレーズで彼の笑い顔を見たああ、あの…