その先

そこに立っていたのは

まぁ、ロマンスグレーの素敵な

初老の男性だった

ああ、そうだ、あの時のイケメンも

今や、そういう歳なのか

でも、あの時の繊細な面影は一つもなく

この世界で戦って来たのであろう

厳しさが漂っていた


「あの時、若気の至りで

名刺なんぞ渡したのが間違いだったのかな」


私はその尖った言い方に

怒るよりも

忘れていなかったこと

そして、風香を本当に好きだったのだろうと

嬉しくなった