魔女
「妹はとっくに死んだが、まぁ、気の小さい女でな~
あの娘の言うがままだったな~
娘の父親は誰かわからんままじゃった」
そのお爺さんの話は、どこかここかに飛びまくるのだが
あの時のおばあちゃんが、このお爺さんの妹で
あの時のくうちゃんのママがどうしようもない、その娘なのだろう
その娘の父親、妹の夫が誰かわからないと言っている
聞いていいかどうかわからない、話だと思ったが
横で聞いていた瑞樹ちゃんが
話し上手で優しそうな雰囲気、そして、水商売の色気も出しつつ
「おじいちゃん、それ、どういう意味なの?
妹の旦那さん?だれかわかんないってこと?」
そう、手を握りながら聞くと少し、赤くなりながら
そのお爺さんは
「妹は本当に気の小さいやつでな
嫌ってことが言えない人間だったんじゃ
それで、村の祭りの日に回されたんじゃな
それも、目隠しされていてな~
可哀そうに、身ごもらせられたんじゃ」
子供を降ろすとかいう判断はなかったのだろうか
今の世の中ではないし、田舎の村ではそんなことも
あるのかもしれない