2017-01-01から1年間の記事一覧

速水の悩み

それよりも何よりも タケオは今のハーミーを自分だけが知っている これは週刊誌にでも売れば高く売れる情報だろう もちろん、そんなことは口に出しはしないし お金はいつも通りでいい そのいつも通りですら ハーミーの場合、ひと月バイトして汗水たらして手…

発達障害の母

もう、30年以上も前になるが 修二に会ったから、母が悲しいのだ 修二はどうなったんだろう? あんなにきれいでエロくて、そして純粋だった男の子 同じ発達障害でも母とは心の色が違う 修二と別れてから、私は大学に戻るなんてこともできるはずもなく 恵子ち…

速水の悩み

タケオの話はちっとも頭に入って来ない 実家に帰って、普通のお嬢さんになろうと 何事もないように普通の日々を過ごしていたが いつも、タケオに会いたい、顔が見たい そして、声が聴きたい そう、心の奥底で切望していた自分に気が付いた 何よりも、彼に抱…

発達障害の母

母は小学校三年で知能が止まっている でも、止まっているのは知能だけではない 優しさや人として長く生きていると 正直に言ったほうが自分のためだし 相手に対しても誠実だとか 意地悪をしたり欲望のままにお金を使ったり 誰かをだましたりしないほうが、自…

速水の悩み

いそいそと出かける速水 ミキはたぶん、その男が呼び出したんだろう そう思ったが余計なことを言っても仕方がない 速水は黒の自分の肌が一番映える、ハーミーらしさが 一番出るワンピースにしようかと思ったが 思い切って、薄いピンクのブラウスに 白いスカ…

発達障害の母

「こいつ、母さんの男なんだ! 最近、母さんがよこしたに決まってる 逃げろ! こんなことに巻き込んじゃいけない人ってことくらい バカな俺だってわかってるさ! 早く!もう、戻ってくるなよ!」 修二のその言葉に涙ぐみながらも 覚せい剤に拳銃! 私は怯え…

速水の悩み

そして、平穏に暮らしていき 少し落ち着いたら 今持っているお金を元手に みぃにでも相談して、何か始めよう そう決めていた そんな平穏な日々に ラインが届いた あ.... そう言えばタケオには 電話番号を教えた気がする こうしてコンタクトを取ってくれば 思…

発達障害の母

修二に飛びついた左足が血まみれだ「大丈夫?救急車呼ぶ!」そう言って出て行こうとしたまだ、携帯もないし家電も引いていなかったその手を掴むと修二は「すぐ出て行くんだ!もう、帰って来るな!わかっていたんだ、2人でずっと暮らすことなんか無理だってこ…

速水の悩み

ハーミーという存在は 実はCGではなかったのか そうとしか思えないほど 二次元の透明性があった そんなワイドショーのコメントを聞きながら そろそろ、そんな騒ぎも終息に向かっている あの頃に個人的に親しくなった人間などいない そして、普通の生活をすれ…

発達障害の母

シャッターを開けると通りはいつもの街並みになっていた商店街の人たちが拳銃を持ってた男は覚せい剤か何かでおかしくなっていたらしいが姿が見えなくなったからこの辺りの組みの事務所に匿ったのだろうという話だった私はホッとしてアパートに帰った修二は…

速水の悩み

速水自身が実家でこんな生活をしていると タケオには会えないし、まったく別生活 わかっている もう、自分はだれか、普通の人に恋をしても 憧れるような恋はできはしない そんなことはいやほどわかっていた それでも、ワイドショーなんかで どこのチャンネル…

発達障害の母

八百屋でジャガイモを買っているとパン!パン!パン!と音が聞こえた道沿いに走り回る人のざわめきと大声、怒号!昭和50年代の頃の新宿から新大久保あたりはそんなことが珍し苦はない頃で八百屋はすぐにシャッターを下げてまだまだ、田舎者の何が起こったか…

速水の悩み

速水は不思議なほど 今の生活が楽しかった そして、街でどんなに男を見ても あの頃のように体が疼きはしなかった そのかわり、男を見たら どんな男でもこの男はきっと、女を こんなふうに抱くのだろうと 確実な想像ができることに 笑えてしまう こんな想像し…

発達障害の母

それでも2年も続いたのは修二の純粋さと、私が妊娠しなかったせいだまったく、今考えたら恐ろしい.......無知ゆえに私はひたすら修二だけを見ていたし修二も母親以外の異性でとにかく大事にしたい、守りたい、そばに置きたい、そう思った初めての女だったの…

発達障害の母

二十歳前の田舎出の娘に心は純粋でも頭がちょっと足りないで女のベッドの中での扱いが抜群にうまい修二どう考えてもまともに生活できるわけはなかった毎晩、陶酔して次の日なんかどうなってもいいようなセックスをする修二に私が大学など見向きもしなくなる…

速水の悩み

風俗に関すること以外に 速水にはなんの才能があるのだろう? 小さな頃に色々習い事をさせた 水泳教室、バレー、ピアノ、書道、絵画 どれも、まぁ、普通にやれる程度だったし 本人ももっと、やりたいなんてこともなかった 今、速水が持っている莫大なお金は …

発達障害の母

食費はかけない服に興味はない踊るのも黒服の格好で踊るから人気があったんだしそうなると、お金はすぐに溜まる私は一緒に住んだらどんな風になるか全く想像できないバカだった今、思えば恋愛なんか全くしたこともなく生真面目にセックスは子供を作るための…

速水の悩み

努力という言葉がもてはやされるが その先に、努力に見合うものは待ってはいない そこには、やはり自分がもともと持っている ものにしかたどり着かない 速水はここに帰って 一体どうするつもりだろう 完璧な普通の女の子になっても その、タケオという男娼と…

発達障害の母

修二はその頃興味があったのはディスコで踊ることだけだった踊りはうまかったし、見た目もいいのでフロアボーイとしては足手まといなのだが修二が女の子たちの間に入って踊るだけで絵になったし修二目当てに来る子も多かったらしいでも、他に興味があること…

速水の悩み

恋愛なんかそんなもの でも、それは今だからわかることだ 速水はやっと今 男という異性を初めて 体というもの以外で見つめたのだ ミキは速水の恋を心から 可哀想に思う タケオは速水のような子に 恋などしない それならば優人の方が人間として幅がある やさ…

発達障害の母

修二はもちろん青学の大学生なんかじゃなかったし話を聞けば、いや聞かなくても中学ほどの勉強の知識もなかった母親とそんな生活をしてきたのならば勉強をしなければならないなんてことは人生の中で全くないのだただ、生きていかなければならなかった勉強ど…

速水の悩み

恋愛なんか全くバカらしいものだ 大事なのは人間同士の信頼関係とか 服の趣味、好きなもの、同じ食べ物を食べた時の反応 そんなものがお互い好ましいかどうかの気がする ミキは沢田の仕事がまず好きで 職場ももちろん好きで 服の趣味が好きで、沢田の生い立…

発達障害の母

私の下宿は友人を入れてはいけない決まりだった 高田馬場の近くの下宿屋で、男子学生ばかりだったところを 無理やりに安さに惹かれて、入らせてもらったから 下宿人同士の交流すら禁止だった 修二は相変わらず、店で寝泊まりしていたし 私たちは夜の公園で済…

速水の悩み

「パパがずっと、追っかけてくれたから 長いこと時間はかかったけれど、一緒になれたかな」 「どのくらい?」 「10年くらいかな」 速水はほっと溜息をつくとうらやましいと思った 父は本当に偏見のない立派な学者だから タケオにはそんな所一つもないし 速水…

発達障害の母

でも、修二は首を振る 「ううん。男は次々に変わるけど いつだって僕がいないとダメなんだよ」 ああ、そういう風に考えるのか 私は自分が恥ずかしくなる 私には父がいて、母親はまがりなりにも 母親という役割をやらなければと考えていた 修二の考えるように…

速水の悩み

買い物帰りに二人でランチをして 沢村にお土産のスィーツを買う 素晴らしく楽しい時間ではあるが 二人でいても話がちっとも続かない 普通の母親ならば、今まで離れていた時間 どんなことをしていたのか、何を食べていたのか 料理は?みぃ以外の知り合いは? …

発達障害の母

父親は顔も覚えていない、物心ついたころには いつも母親と二人だった だいたい、東京の繁華街をうろうろしていた 母親はいつだって 「あんたはバカなんだから、もう少し バカなふりをしときなさい 計算なんかできないふりしときゃいいんだよ 自分の名前も覚…

速水の悩み

銀色の長い髪の毛をミディアムボブの 上品な濃いめの茶色に変えた ハーミーの時はできるだけ二次元に寄せることで 男たちの後ろめたさを消すように銀色の髪にしていたのだが 二次元に寄せてもその湧き出るような色気に 誰もがおぼれた物だったのだが その髪…

発達障害の母

お金がなくてバイト三昧の日々 恵子ちゃんと二人、頑張ってはいるけれど ディスコなんか行けるのは一年に一回がいい所 勉強も大変だし、同じ大学生でも あのディスコに来てたような 前髪を立ち上げて、まっすぐな髪の毛をなびかせて ブランド物で身を包んで…

速水の悩み

ミキは自分が沢村と一緒になるまでの日々を思った 長かった・・・・ それでも、沢村があきらめなかったから ミキはそばに寄ることすらあきらめていたのに ものすごく遅くやって来た幸せだったけれど あれは誰にでもやってくるものじゃない ミキのような女は…