速水の悩み

「パパがずっと、追っかけてくれたから
長いこと時間はかかったけれど、一緒になれたかな」

「どのくらい?」

「10年くらいかな」

速水はほっと溜息をつくとうらやましいと思った
父は本当に偏見のない立派な学者だから

タケオにはそんな所一つもないし
速水を追いかけてくれるなんてことは考えられない

ミキは速水の相手のことはみぃに聞いていたが
会えて、話はしなかった
恋愛なんてものに、本当に価値があるのかどうか
自分でもわからなかったからだ

自分と沢村のことは口にすればそう言う風な事情しか
話せはしないが、本当は
全く違うような気がする