速水の悩み

それよりも何よりも
タケオは今のハーミーを自分だけが知っている
これは週刊誌にでも売れば高く売れる情報だろう
もちろん、そんなことは口に出しはしないし
お金はいつも通りでいい
そのいつも通りですら
ハーミーの場合、ひと月バイトして汗水たらして手にする額を
一晩でくれるんだから
ありがたいことだ

今日だって、多分、大丈夫だよな
あの仕事を辞めても、一生、食っていけるくらいの
財産は持っているはずだ

さすがにそんなあさましいことは口には出さないが
本当はそのつもりだ

タケオは自分は純粋で弱い男だと思っていた
しかし、中卒でこんな夜の世界で食べている人間なのだ
十分、食えない男になっていた
沙羅には海外に留学していたような雰囲気にしていたが
女子大生の沙羅にはわからずとも
世間では怪しい男娼にしか見えない