2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「お母さんがね老人ホームから 病院に運ばれて、それから一か月で亡くなったでしょう?」 康太はそのころ、まったく母のそばには寄らなかった 臨終にも立ち会わず 骨になって骨壺に入ったころ 顔を出したのだった 「病院に行ったらね、もう、ベッドから動け…

発達障害の母

「つうちゃんはやりてだからね 今の村長さんに取り入って 自分の娘をあそこの長男と一緒にしたいんだよ あんた目当てに村長さんがコーヒーを飲みに わざわざ、行ったって話をしたら きっと、あんたに頼みに来るよ」 「ネコ、あ、今は村長だけど まさか、私に…

そうだ、じいちゃんは陽気な女好きで 母親はその父親に似ただけなのだろう ただ、女だから色々と人に言われるし 自分たち、子供も好きにはなれなかったのだ 「お母さん、じいちゃんにそっくりだったね」 そうミキが言うと 康太も 「うん、顔も似てたしね」 …

発達障害の母

遅く帰ったりすると 母が自分で私の分も料理を作ってくれている 年を取ると自分で料理しなくなるから できるだけ自分でやって自分で食べるようにしたほうが 認知症対策にもなるなんて話は知っているが 母の料理はまずい 猫舌の上にまともに字が読めないから …

発達障害の母

ネコは困ったように笑って 「だからさ、うちの父ちゃんが やたらハワイ行ったり、株に手を出したりして 一度、うちは破産したんだ じいちゃんは首をくくって 父ちゃんは行方不明!」 「え~!!!! ほんとにそんなことになってるの? ネコは今、何してんの…

「え?いくらだったの1万円?」 あの頃、千円も入れてくれていれば 十分だったまわりのひとたちだったのだ 「ううん!50万円!」 「え~!!!!」 「もちろんすぐお返ししたわよ でもね、一人ぼっちで寂しい暮らしを うちのじいちゃんがすごく楽しいものに …

二人はただただ、普通の人間になりたい そう願って一生懸命努力した日々を もう、終わりにしたいと思った どう抗っても 母は母なのだ 「ほら、じいちゃんがものすごい婆さんを連れて来て、みぃのお守りをさせていたじゃない? あの、お婆さんって実はすごい …

発達障害の母

そして、誰が考えてもやりそうにないネコが僕がやりましたと手をあげてその次の日お金を持って来たのだでも、結局、それはミナの仕業だったってすぐにわかったのだミナが村の雑貨屋でお金を使っているところを誰もが不思議に思っていたミナの家は親がケチで…

康太は少し躊躇したが 姉にはなんでも話すから そして、姉ならばわかってくれるだろう ミツホを責めたりしないだろう 実は..... 話しを聞くと ミキは 「ミツホさんも辛かったでしょうね 向こうの親御さんは? 大丈夫だったの?」 「いや、ただただ、気の毒が…

発達障害の母

いつだって村中で幅を利かせて偉そうに歩き回る祖父と父親をごめんよ〜って顔で見ていたネコ本当にいいやつだった「あ〜ネコといえばあの事件を思い出すだろう?」友くんのその言い方ですぐ思い出した小学校五年生の時に亡くなったお金あれはなんのお金だっ…

病院を出ると 康太が 「みぃや速水がすごく喜んでくれてね」 「それはわかってるけれど それで、いいの? 二人から金銭的援助はどれだけ受けても 構わないけど 親戚付き合いなんかしなくていいのよ 速水にお返しはいらないわ」 康太は複雑な表情をしながら …

発達障害の母

いつもの時間にいくとマスターが嬉しそうにいつものコーヒーを淹れはじめ友くんは片手を上げた今日は彼の横にどこかで見たことがあるようなおじさんが座っていた「おう!こいつ誰か思い出す?」ジャージの上下に運動靴頭はほとんど禿げ上がっているがその目…

発達障害の母

いつもの時間にいくとマスターが嬉しそうにいつものコーヒーを淹れはじめ友くんは片手を上げた今日は彼の横にどこかで見たことがあるようなおじさんが座っていた「おう!こいつ誰か思い出す?」ジャージの上下に運動靴頭はほとんど禿げ上がっているがその目…

康太の子供ができたことを 誰よりも喜んでくれたのは 姉のミキだ 「よかったわね~ 可愛い女の子で ミツホさん、うちに速水の子供時代の 服がたくさんあるから 欲しいものがあったらなんでも言ってね」 そんなことを言いながらも 絶対新しいのを買ってくれる…

発達障害の母

母の言葉を文にしようとするからこんなふうにある程度はわかりやすくなるのだが実際は主語述語はめちゃくっちゃだし自分の目的である話をする途中で別のことを思いついたり別のことが目に入ったりすると話は無茶苦茶で四六時中そばにいる私でもよくわからな…

母は悪びれる様子もなかったし 父はすみませんと頭を下げて通り過ぎた そんな家なのだ 子供に全く自分の家の血が入っていないことは ありがたいことだと思う ミツホの家はごく普通 父親は大手の企業のサラリーマン 母親は短大を出ているだけだが 家政科を出…

発達障害の母

私が家に帰って母にみっちゃんの話をすると嬉しそうに「ああ、あのみっちゃんは結婚する前にあ〜ちゃんがずっと好きだったって行ったとか言わなかったとか村で随分話になったものだよ先生の奥さんはいっつも私をばかにしてたからねいい気味だったよみっちゃ…

発達障害の母

それが、ある夏休みに中学生の男の子を誤診しちゃって、大病院に送るのが遅れたものだったからその男の子は命を落としてしまったのだ村の人は誰も彼を責めなかったしその男の子の両親すら仕方がないことと諦めたんだけどみっちゃんはそのことで自分を責めて…

康太もよく知っている男だ しかし、別に気にも留めなかったしショックも受けず、そして愕然とする まるで自分は父親と一緒だ 中学に入ってからは 母への怒りとともに 祖父への蔑みとともに 父の普通ではない感情を訝しみ そして、バカにした でも、長い出稼…

発達障害の母

「ははは!それは誤解!私のあの頃は東京でもがいてたからなぁ」すると友くんはしんみりと「わかるよ俺もトラックの運ちゃんやってた若い頃関西に2年いたからな田舎者には何かときついよな」「そうなんだ!みんな何かとあるねそれで、みっちゃんは?医者にな…

ミツホは康太が初めての男だったから 康太のsexのやり方に不満もなかったし 不信感も持っていなかった しかし、子供はなかなかできないから 自分のどこが悪いのかと 研究もし始めたのだ ミツホには、生物学部に高校の頃からの 友人がいた その子に何かと相談…

「それでね、だからなんだけど 僕はショックじゃないんだ そういう環境で育ったからだと思うけど 女の人の性に関しては 世間が言うように夫一人とか操とか 全く気にしない そうじゃない女しか知らないからね 僕の家では夫の前で別の男に 抱かれることですら …

発達障害の母

「東京のあ〜ちゃんは水を得た魚のように生き生きしていてアパートの前でちょっと見かけただけだけどちょうど外車で彼氏が迎えに来ていて遠くから見ても、この村の呪縛から解き放たれたように見えたって、それを見たときに田舎の医者の息子なんかあ〜ちゃん…

高校で誰彼お構いなく 男漁りを始めたからさ それも放課後、学校外でとかじゃなく 学校の休み時間に 男子トイレでだってさ」 ミツホが言葉を失っていると 「うちの女どもと来たら そんなのばっかり 僕は女の子は欲しくなかったんだ 姉さんと沢村教授が結婚し…

発達障害の母

でも、みっちゃんの母親が言っていることが子供心にもそんなに的外れなことではないそう思っていたからみっちゃんとは犬と人間ほど隔たりがあると思っていたそれがみっちゃんの恋の対象が私だったなんて驚く以外にない人は恋愛をするにしても自分と同じステ…

ミツホの両親が 康太のその言葉を聞いて 安心して謝りながら帰ると ミツホが何か言おうとする 康太は遮るように 「君がこれからも 僕と暮らしていこうと この子供と一緒に 暮らしていこうと そう、思ってくれるんなら 何も話さなくていいよ 僕はこの子の父に…

ミツホは今は寝ていると言う 話を聞いてみると 子供の血液型がちがうそうだ 康太がO型、ミツホもA型なのに 子供はAB型だと言う 両親はまだ、ミツホの話は聞いていないが これは明らかにミツホの罪 そう、涙ながらに訴え こんな娘に育てた覚えはないだの 何か…

発達障害の母

その頃、みっちゃんが学校では群を抜いての優等生だったのだが国語や本を読む数ではダントツに私でみっちゃんだって私がいなければ作文だって立派なものだったのだがそればかりはいつだって学校の代表は私だったそれが気に入らず『作文を書くのが上手なんて…

発達障害の母

「そんで、告白するつもりだったけど言えないままだったってさ!結婚相手は親が決めた人だったからあ〜ちゃんに、どうしても言いたかったみたいなこと言ってたからな」私はびっくりしたがもう、30年近く前の出来事だ「でも、無理だよあそこの親が私を嫁にな…

そんな風に心で悩みながらも あっという間に女の子が生まれた 仕事が立て込んでいたのもあって 生まれたと言う連絡をもらって 少し遅れて駆けつけると 部屋の前でミツホの両親が 康太を前に正座した 無事に生まれなかったのだろうか? 何があったのだ ミツホ…