康太もよく知っている男だ
しかし、別に気にも留めなかったしショックも受けず、そして愕然とする
まるで自分は父親と一緒だ

中学に入ってからは
母への怒りとともに
祖父への蔑みとともに
父の普通ではない感情を訝しみ
そして、バカにした
でも、長い出稼ぎの仕事から
帰って来て、母が別の男のところに
止まっているのを知っていても
なんとも感じてないような愚鈍さ

母がまた、誰彼構わずだったから
近所の男の場合だって
多々あった

久しぶりに帰って来た父親が
カツ丼を食べに行こうと
康太とみぃを誘ってくれて
三人で近所の食堂の前で
男にしなだれかかっている
母親と遭遇した