二人はただただ、普通の人間になりたい
そう願って一生懸命努力した日々を
もう、終わりにしたいと思った

どう抗っても
母は母なのだ

「ほら、じいちゃんがものすごい婆さんを連れて来て、みぃのお守りをさせていたじゃない?
あの、お婆さんって実はすごい
大金持ちだったんだよ
じいちゃんのお葬式の日
娘の母さんさえ帰って来なくて
お金もなくて大変だったのに
封筒に入れてくれたお金
いくらだったと思う?」

あの頃、康太とは話すのも嫌だった話を
したくなった
今考えれば、そんなに悪い話じゃない