2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

手に入れた物

まずは母の仏壇に手を合わせたいと言う 園田かすみ その美しい人にそう、言われて ミキは 「ごめんなさい、うちは仏壇とか その種類のものは何も置いてなくて」 「あ、もしかして宗教上の理由ですか? ごめんなさい、そうですよね 誰もが仏教だなんて勝手に…

発達障害の母

「その子供はどうしたの? 誰の子供?」 「その子は子供が生まれるころ 拓ちゃんが結婚して、その奥さんと育てたんだよ 子供を産んだ、拓ちゃんの妹はどうしたの?」 「東京に出たんだよ それで、水商売か何かやってて二号さんになったんだよ」 「ふ~ん。拓…

手に入れたもの

今までに母親への苦情は どんなにあっただろう ヤクザの男が乗り込んでくる 泣きながら母が寝とった旦那の妻が 家にやって来て暴れる あの、古い家にいた時は そんなことが引きも切らずで 康太と2人、どれだけ心を痛めただろう もう、死んだとはいえ 母を訪…

発達障害の母

母は周りに誰もいないのにコソコソとした目をすると「ほら、村の入り口の拓ちゃんところあそこの妹が孕んだ時ね」「ああ、拓ちゃんって私より2、3上だったよね妹は確か私より3つくらい下のぼうっと、暗い子あの子、子供とか産んだの?!いつ結婚したの?」…

手に入れた物

平和な毎日 まるで猫のような日々 戦うことも、いやな思いをすることもない 長かった 中学の頃、母を憎み やっと家に帰って、まともな生活を始めよう そう思ったときにみぃを連れて行ってしまった母 自分の時よりも怒りにまみれて 本当に殺してやりたいほど…

発達障害の母

男の影はない でも、どこでもチャンスがあればできるはずだし もしかしたら、たった一回のレイプだったのかもしれない こうして、私が悩んで手をこまねいているうちにも 赤ん坊はどんどん大きくなる そうなると母親の目に留まるだろうから 余計なお世話なの…

手に入れた物

速水が幸せに好きな仕事をして みぃはひたすら儲けて 優人は有能な速水のマネージャーになり 康太は光源氏のように幸せな毎日を送っている 古い日本家屋を大事にしながら 庭の木々をいたわり 部屋の中は自分がやりたいとおりのインテリアにし 美味しいものを…

発達障害の母

すると、誰もが 超真面目!しゃべらない! 父親が東京生まれとかで 田舎の子をバカにしている ブス!すね毛を剃っていない 運動神経が悪い 弟がイケメン! そんなことを話してくれた 友人はいない、休み時間も勉強してる 「彼氏はいないの?」 皆口をそろえ…

ミキのママ友

優人は今まで母のことなど 考えたこともなかった 言うことを聞かなければならない それは刷り込まれていたが 母を尊敬するとか 母を好きだとか 母が一体どんな人生を歩いてきたのかとか 全く興味がなかった そう言えば、母のほうの親戚には会ったこともなか…

発達障害の母

そんな真面目な子 いったい、どうして妊娠なんてことになったんだろう 朝晩、ゴミ出しのときなんかに奥さんには会うが 全く気が付いている様子ではなく明るく、元気だ 田舎の婆さんたちは悪いところはすぐに探し出し やたら噂を振りまくが、手を出そうとはし…

ミキのママ友

優人は我を忘れて飛び出してきた 殿村は優人を台所のテーブルに誘った そして、久しぶりに優人にコーヒーを入れながら ミキが速水のところに聞いてくれて 使えるようならマネージャーになってほしいと言っている そう言うと 優人は心から嬉しそうに 「死んで…

発達障害の母

ショートカットの黒い髪の毛 田舎の二流の高校の子なんかほとんどが髪を染めている 真っ黒の髪の毛で化粧っ気がない 今は女の子も都会の高校生並みに化粧しているのが普通だ スタイルもよくて顔もアイドルよりいい子もたくさんいる でも、その子は少し小太り…

ミキのママ友

もう、長いこと引きこもっている 最初は心を込めて作った食事を扉の前に置いたり カウンセラーを呼んでみたり いろいろやってみたのだが トイレに行く時、そして夫婦が寝静まってから フラっと出てきて 近くのコンビニに行って買い物をするか シャワーを浴び…

発達障害の母

専門学校に上がる子はほとんどが美容系 もちろん、それなりにモチベーションを持って 頑張ろうという子もいないわけじゃないが ほとんどがどうしようもない子 就職する子はまだいい 都会でバイトをしながらのニートもまだいい 田舎でニートを決め込もうとし…

ミキのママ友

「さすがね! 私、あなたのそういうところ初めて知ったけど すっごく友達になれそう!」 「え?」 「私たちは子供のことで失敗しても 今の家庭で失敗しても 実家は頼りにしない 何とか、先に進むのよ まぁ、頼りになる親も実家もないしね」 殿村は笑い出した…

発達障害の母

私はたまにしか見かけないこの女の子が好きだった 田舎の高校三年生、 私の親戚の子たちは 親戚と言っても田舎のことだから、ずいぶん血が薄くても 親戚というのだが どの子も残念な子だらけだった 地元の普通科高校か農業高校に通っていて 卒業したら地元に…

ミキのママ友

「リベンジポルノ?」 殿村はミキの唐突なたとえに呟いた 「あ、ごめんなさい。 女の子は裸を見せたがったり 性に依存するのは普通ではないって常識が うちの速水を縛っていたから」 「ああ、ハーミーはそれで生まれたのね」 お互いしばらく黙っていた 「う…

発達障害の母

田舎のお婆さんのこういう目は たいがい間違いない 母は知的なことや、世の中の常識はまったく わかっていないが 性に関しては、まず、間違いない うちの横には田んぼが二枚ある その向こうに、母と同い年のおばあさんが住んでいる 立派なこじんまりとした家…

ミキのママ友

「母親に中学を出てすぐに 風俗に連れていかれ 自分の意志でやめることが出来るようになった頃に 家に帰ってみれば、幼い弟と妹が出来てた 弟はまともに育ったけれど、妹はやはり風俗の道 そして、速水もそう でもね、妹も速水も幸せそうなの お金だってザク…

発達障害の母

あの頃は自分が世界で一番不幸だと思っていたし 母から逃げることばかり考えて 村の人間はすべて、子供から大人まで 母の子供である私を軽蔑して可哀そうだと思っている そう、考えていた しかし、こうやって大人になった目で見ると 本当に犯罪の温床だ 私が…

ミキのママ友

殿村は少し、自虐的に 「小さな田舎から中卒に出てきて 寝る間も惜しんで仕事をし、頭をフル稼働で使い お金をため、そして、今の夫を捕まえ ひたすら素晴らしい家庭を作ろうと努力し 子供たちは完璧な東京の人間になってほしいと 願って、努力してきたわ 大…

発達障害の母

母の近くにいると 向上心や努力が全く無駄なものと思えてしまう そして、母を取り巻く環境 私は小学校の頃からアガサクリスティーが好きで その中でもミスマープル物が特に好きだ イギリスの小さな村で、様々な事件が起きる 小説の中でもアガサはこんな平和…

ミキのママ友

それでも、悠人のか弱さはわかっていた 自分のような中卒で田舎から出てきて 必ず、東京の上位層くらいの人間になろうと 誓って、生きることに食らいついてきた人間からみると どんなにお金を使い、どんなに親が心を砕いても 能力もなければ気合もない 高卒…

発達障害の母

友君がなっちゃんのところにお金も財産もすべて持って 家庭を捨ててしまった たぶん、そこには奥さんや子供に悲しい憎しみを産んだかもしれないが その、子供たちは奥さんの実家で これをばねに、今までとはもっと、違う将来を 今までとはもっと、違うモチベ…

ミキのママ友

「え?」 「速水は高校に入ったころから 勉強をして普通の人生を歩くのに 不適正な子だってわかったの 親族にちょっと、手広くネット系の商売をしている人がいて その人に預けていたら まぁ、ああいうネットアイドルみたいな仕事が ピッタリ来たみたいで 私…

発達障害の母

確かに、人の道を外れることをするのは 多くの人を傷つけるのかもしれない しかし、こうして母のそばで暮らしていると 母自身は自分は間違いのない村人の手本のような 人生を送っていると思っているし 他の口うるさいおばさんたちも 私は全く間違っていない…

ミキのママ友

速水のせいで長男が そんな風になってしまったと聞くと 今更言い辛い でも、真実を話した方がいいだろう 速水の立場が頭をよぎった この人に話して、スキャンダラスな記事に 書かれたりすることになるだろうか? 速水の正体が知れれば 夫の仕事にも影響する…

発達障害の母

友君のことはしばらく村を賑わしたが 奥さんが農家を全て捨てて 子供と村を出て行くことで 静かになった 誰もが友君を責めて うちの母も 「小さい頃から五十数年間 この村で、とってもいい子だったのに 何か物の怪がついたんだろうね」 まぁ、それは正しいの…

ミキのママ友

「ちょっと、待って 私はご長男の悠人くんだったっけ? 悠人くんのことなんか、本当に何も知らないわ 大手企業に就職したことも どこの大学かも知らないわよ だって、殿村さん そんな話しなかったでしょう?」 「それは、あなたは上品だし 速水ちゃんのパパ…

発達障害の母

小学三年生というと無邪気な8歳くらいと同じだと思うかもしれないが小学三年生までの知識とセックスがすべてわかっているということでそこが混ざると、男と女の複雑な今度の友君となっちゃんのようなことは理解の外で、全部話せばなぜ連れて帰らないのかそれ…