発達障害の母

友君のことはしばらく村を賑わしたが

奥さんが農家を全て捨てて

子供と村を出て行くことで

静かになった

 

誰もが友君を責めて

うちの母も

 

「小さい頃から五十数年間

この村で、とってもいい子だったのに

何か物の怪がついたんだろうね」

 

まぁ、それは正しいのかもしれない

しかし、『物の怪がつく』というのは

比喩ではなく母は心からそう思っている

親戚のおばさんが脳腫瘍で入院した時

村の誰かから聞いた九州の山奥深くで

お祓いを生業にしている変な

占い師のところに行って祈祷してもらった

手術が成功したのは

その占い師に自分が五万円お供えしたからだと

村中に触れ回って喜んでいた