手に入れた物

速水が幸せに好きな仕事をして
みぃはひたすら儲けて
優人は有能な速水のマネージャーになり
康太は光源氏のように幸せな毎日を送っている

古い日本家屋を大事にしながら
庭の木々をいたわり
部屋の中は自分がやりたいとおりのインテリアにし
美味しいものを丁寧に作り
夫の優しい笑顔に包まれて
一ミリも不満のない幸せな日々

これは若いころ
そう、中学の頃からあこがれていた毎日だ
そして、その生い立ちゆえに一人の友人もいなかったのだが
殿村とは何でも話せる仲になった

この満足な日々、それは何かに追われる
今までの自分を惜しむような、それでいて
まだ、何か物足りないような
そんな気がしてくるのを止められない