手に入れた物
まずは母の仏壇に手を合わせたいと言う
園田かすみ
その美しい人にそう、言われて
ミキは
「ごめんなさい、うちは仏壇とか
その種類のものは何も置いてなくて」
「あ、もしかして宗教上の理由ですか?
ごめんなさい、そうですよね
誰もが仏教だなんて勝手に決めて
クリスチャンの方もいらっしゃるのに」
園田かすみは全て調べたわけではなかったのだろうか
まぁ、外から見るだけでは
自分と康太が母を嫌っていたことなんか
わからないかもしれない
「あ、そう言うことじゃなくて
私と弟は母を思い出すものはそばに置きたくないし
妹はそう言うことには興味がないから」
「ああ、そうですか
いえ、うちにとってはお宅のお母様は
恩人と言ってもいい方なんですけど
お子様たちにとってはそうではないかもしれませんね」
「恩人?」
あの自分勝手で男好きの母親が
そんなことを言われるなんて