ミキのママ友

それでも、悠人のか弱さはわかっていた
自分のような中卒で田舎から出てきて
必ず、東京の上位層くらいの人間になろうと
誓って、生きることに食らいついてきた人間からみると
どんなにお金を使い、どんなに親が心を砕いても
能力もなければ気合もない
高卒でどっかの販売員になるくらいが
せいぜいの人間だ
そして、親の無理な押し付けの期待が
ハーミンとやらに逃げさせてしまった

「ごめんなさい
速水が優人君の人生を下したのならば
謝るわ」

「いいの、そうじゃないのよ
わかっているんだけどね
優人、自身の問題なのはね
でも、何かのせいにしたかったの
本当は私が優人の心を無視して
やたら、頑張らせたせい」

ミキはこの時、はじめて殿村と友人になれると思った