その先

私たちは産院を訪ねた

その当時を知っている看護師さんがいた


「覚えていますよ!私も看護師になりたてで

奥さんが同い年くらいだったので

子供を取り上げられて

毎日泣いていて、

とても気の毒に思っていました

あの時のあなたのお母様、

私は事情は知りませんでしたが

ひどい人だと思ったものです」


「それで、何か赤ちゃんの行方に

心当たりはないですか?」


その看護師は澄子ちゃんを見て

『え?今頃?どんな事情があるにしろ

あなたが産んだんじゃない』

私と同じことを思ったのだろう

少し呆れたが

すぐに一生懸命思い出してくれた